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若き清掃マンが上野駅でぶつかった思いがけない「壁」

東日本環境アクセスのプロフェッショナルたち #3

2018/03/02

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技術だけでなく、スピードも求められる

列車内部を再現した車両清掃研修室で後輩に実践指導

 研修を終えた久保山さんの配属先は、1日平均18万人以上もの乗客が利用する上野駅だった。

「到着する列車を上野駅で待ち、折り返し運転をするための車内清掃を1年間担当しました」

 発着時間が決まっている折り返し列車の清掃には、技術だけでなくスピードも求められる。2015年に上野東京ラインが開業する前は、高崎線や宇都宮線は上野が終着駅。地方から上京する観光客も多く、ホームや駅舎は常に乗り換え客でごった返していた。

 利用者の乗降を優先しながら、時間内に作業を終える仕事は、プレッシャーも大きかったが、一番苦労したのは、「駅」と「テーマパーク」を利用する人々の意識の違いだったと話す。

研修ではトイレ清掃のコツもていねいに指導する

戸惑いを意欲に変えてチャレンジ

 駅舎のトイレ清掃も行っていたという久保山さん。

「その場所を最終目的に訪れるテーマパークと違い、通過点である駅では、時間を気にされる方も多くいらっしゃいます。言葉や風習の分からない外国人の方もいらっしゃいますし、マナーも人それぞれです。絶え間なく大勢のお客様が利用する空間で清掃作業を行うのは、はじめは戸惑う部分もありました」

 しかし、不特定多数の人がさまざまな使い方をする駅舎のトイレ清掃は、逆に久保山さんの「清掃魂」に火を点けた。

 安全・清潔・快適にも力をいれ、「夢の国」とも称されていたテーマパークでのアルバイトを通して久保山さんが学んだのは、「もともときれいな場所だと、人はなるべく汚さないように使おうとする」という意識の連鎖だった。

「最近は駅舎のトイレも大変きれいになっていますが、まだまだ改善の余地はあります。きれいな空間を維持して、ご利用されるみなさまにいつも気持ちよくお使いいただきたいという意識があったので、汚れ度合いが高いと逆に燃えました(笑)」

緊張感と使命感を持ちながら、常に笑顔を心がける

“清掃”と“掃除”は違う

 清掃のどんな部分に魅力を感じているか尋ねると、「やればやるほど、成果が目に見えるところです」と久保山さんはにっこり微笑む。「清掃って、やればやるほど結果が目に見えますよね。それが嬉しいんですが、そのきれいになった場所を利用する方が喜んでくれるのも、大きな喜びなんです」

 列車の折り返し清掃を担当していた新人時代、いつも利用されるお客様から「この電車、いつもきれいだよね」とかけていただいた言葉が、今も励みになっているという久保山さん。「プロフェッショナル」として高い意識を持ち、場所をきれいにすることでお客様に貢献する喜びを、こう指摘する。

「“掃除”は身の回りの整理整頓など、自分や家族のために行うものですが、 “清掃”は、プロとしてお金をいただき、お客様に安全で快適な環境を提供することです。『自分は“清掃”のプロである』という自覚を、いつも大事にしています」

社員研修で“清掃”と“掃除”の違いについて語る久保山さん