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連載THIS WEEK

留学仲間・進次郎の背中は遠く
国政進出を阻まれた中曽根孫

source : 週刊文春 2016年5月19日号

genre : ニュース, 政治

中曽根康弘元首相

 5月2日、中曽根康弘元首相(97)が久々に公の場に姿を見せた。

「真に新しい憲法制定に向けて、さらに邁進していきたい」

 憲法記念日を前に、超党派の国会議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」の会長として、演壇に立ち、安倍内閣に改憲を求めたのだ。

 だが同じ日、地元群馬では、“中曽根ブランド”を揺るがしかねない事態が起きた。

「衆院群馬1区の自民党公認を巡り、党県連の選考で孫の康隆氏(34)が尾身朝子衆院議員(55)と争った。地元県議の投票の結果、7対2の大差で尾身氏に軍配が上がったのです」(政治部記者)

 前回の衆院選でも意欲を見せた康隆氏は今回、若手経営者ら3000人以上の「入党意向」を取りまとめ、米国留学時代の友人である小泉進次郎衆院議員の主張そっくりの「党の若返り」を県連に猛アピールした。その動きにブログで噛みついたのが、前回から康隆氏の出馬に反発し、今回は尾身氏を推す群馬選出の山本一太参院議員だ。

「署名集めをどれだけやったところで、選考の判断材料にはならないし、結論に反映されるべきでもない!」

 山本氏だけでなく、首相官邸の意向も尾身氏だった。

「尾身氏の父は、1区選出の自民党議員だった尾身幸次元財務相。福田赳夫氏と中曽根氏が同じ中選挙区で議席を争い“上州戦争”と呼ばれた群馬にあって、幸次氏は福田派だった。06年の党総裁選では、いち早く安倍氏支持で派閥を取りまとめ、第一次内閣では財務相に起用されました。参院選で落選した朝子氏を『通訳』と称して公務に同席させるぐらいの親バカです。引退後は沖縄振興に深く関与し、安倍氏が首相に返り咲いてからは官邸に足しげく通っている」(自民党関係者)

 康隆氏は敗れてなお、国政に意欲を見せるが、国会議員への道は簡単ではない。尾身氏が1区に決まり、衆院候補は皆50代以下になった。参院も今夏は父の弘文氏、3年後は宿敵の山本氏が出馬予定で、康隆氏が出馬できるのは、早くて6年後だ。

「そこで、衆院選北関東ブロックに比例単独候補として据えるという案も浮上しています。尾身陣営にとっても、中曽根後援会との対立は回避したいところ。ただ、康隆氏は上から目線発言が多く、敵も多い。スンナリ決まるとは思えません」(同前)

 3代目が進次郎氏のライバルになれる日は遠い。