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基準満たさず子宮がん手術 問題の医師を直撃すると「まさかの答え」が

2018/02/24
会見する高元俊彦・事業管理者 ©共同通信社

 埼玉県草加市の市立病院で、施設基準を満たしていない環境下、認定医の資格のないA医師(48)が危険な子宮がんの腹腔鏡手術を日常的に執刀。しかも通常の開腹手術と偽って保険申請していたことが2月16日、発覚した。

 記者会見で同病院の高元俊彦事業管理者は「医師法違反ではないんです。自由診療ならやってもいい。技量のある医師なんで」と、単なる事務的ミスだと強調した。

 ところが記者団から「技量のある、とはどう確認したのか」と突っ込まれると、「いや、年報などの症例数を見て……」としどろもどろ。実は、このA医師、とんでもない医者だったようだ。

「11年ほど前、医師不足で閉鎖していた産婦人科を再開するために派遣会社から紹介されたのですが、産婦人科学会の名簿に載っていない。ほとんどカルテも書かないし手術所見もコピぺで、赴任した当初は普通の開腹手術さえおぼつかず、別の常勤医師に教えてもらっていたほどだと聞きました。そのくせ気に入らないことがあると『だったら辞める』が口癖で、産婦人科を維持したい病院は強い態度に出られなかった」(経営母体の草加市関係者)

 保険適用か否かの基準は金銭的な問題だけではない。技術水準を見極めながら承認する、安全弁の役割も果たす。

「骨盤内にある子宮は腹腔鏡では高度な技術が必要。万が一、悪性腫瘍を体内で刻んだりしたら転移の原因にもなる。模型や動物の生体で何年もトレーニングを受けないと怖くてできません」(専門医)

 問題のA医師を直撃した。

「学会の名簿? 10年くらい前から載ってないんじゃないかな。トレーニング? 受けてません。誰かに習ったわけでもない。資格とるには半年も研修を受けるとか、そんな時間はない。(草加に来る)以前は静岡の病院で良性の小さいものをやっていた。大きいほうが楽しいんだけど。草加に来て、悪性も難易度が変わるわけじゃないから、やったらうまくできた。人体実験みたいだけど、医療の黎明期って、そういうもんでしょ」

 高元管理者は昨年1月まで草加市立病院の院長で、名門・東京医科歯科大出身の医師。冒頭の発言は、A医師の“人体実験”を認めたように聞こえるのだが……。