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常井 健一
2016/11/10

原発ゼロで野党共闘煽る小泉純一郎の本当の狙い

source : 週刊文春 2016年11月17日号

genre : ニュース, 政治

小泉人気はいまだ健在

「野党が一本化して原発ゼロを争点にしたら与党は負ける」

 11月4日、こう吠えたのは小泉純一郎元首相(74)。

 記者とのぶら下がりでは、「2030年代原発ゼロ」を掲げる民進党に「公約はわかりやすく、短く言わなきゃダメなんだ。30年代にゼロ? 今は再稼働認める? わかりにくい。『今すぐゼロ』と宣言したほうが国民も企業も準備しやすいんだ」と注文。

「連合の票ってどのくらい? その中で原発推進、電力関係の(組合の)票なんて50万ないでしょ。それ以外の500万、5000万の票をどうして獲得しようと思わないのかね」

 と、連合との“決別”まで煽った。この日講演が行われた新潟県では、原発再稼働反対を訴えた米山隆一氏が知事選で勝利したばかり。講演前の楽屋で、小泉氏は米山知事にこう語った。

「新潟は保守勢力が多いでしょ。自民党、公明党、連合も米山さんを応援しない。それだったら、無競争同然で負けるとみんな思うよ。大番狂わせですよ」

 米山氏といえば、知事選直前に小泉氏の「原発ゼロ」に歩調を合わせたが、2005年の郵政選挙では田中真紀子元外相への“刺客”として自民党公認で立候補し敗れた過去がある。会談で米山氏が「小泉チルドレンだから考えが同じだ」と強調すると小泉氏はこう応じた。

「正しい小泉チルドレンだ」

 そして、こう助言した。

「原発ゼロは郵政解散と一緒。何があっても1人であってもやり抜く決意が必要だ」

 さらに、同じ日には泉田裕彦前知事と同じ部屋で極秘に会談を行った小泉氏。この小泉氏の“新潟発言”に真っ先に飛びついたのは、民進党の菅直人元首相だった。翌5日、ブログに〈次期総選挙では即「原発ゼロ」を公約に掲げるべき〉と書き込んだのだ。

「1月解散をにらんで党内では『即ゼロ』を打ち出す動きもあった。江田憲司代表代行が積極的で、蓮舫代表も乗り気でしたが、野田佳彦幹事長は総理時代に原発再稼働を決めた張本人。さらに、新潟で連合と揉めた直後だけに、とうてい党内をまとめられる状況ではない」(民進党幹部)

 揺れる民進党だが、そもそも小泉氏は、自民党を変えるほうが早いという立場。新潟でも記者団にこう強調した。

「野党が変われば自民党も変わらざるを得なくなる」

 やはり民進党は眼中にはないようだ。