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「プロの学校銃撃犯になる」 17人を殺した銃乱射犯の素顔

2018/02/28
クルーズ容疑者 ©共同通信社

 またアメリカで銃による悲劇が起きてしまった。

 2月14日、「フロリダ州で最も安全な町」として表彰されたこともあるパークランドの高校で、元生徒が銃を乱射、職員3名を含む17名が死亡したのである。

 犯人のニコラス・クルーズ容疑者(19)は、事件当日「バレンタイン・デーだから」とバイトを休み、1年前に喧嘩と問題行動で退学させられた母校へ向かった。退学と前後して隣町のショッピングモールで合法的に購入したセミオートマチックのライフル(AR-15)で、1分間に100発以上の銃撃を浴びせた後、逃げ惑う生徒らに紛れて校内から脱出。マクドナルドで食事を済ませ、約1時間後に、隣町で取り押さえられた。

 孤児として里親に育てられたクルーズ容疑者は、昨年「プロの学校銃撃犯になる」として、YouTubeに自身の狙撃練習の様子などを投稿。白人至上主義団体に出入りし、「ウチの学校で乱射するとしたら彼だと、冗談交じりに噂されていた」(元同級生)人物だったという。

 今年に入って5件目(少なくとも)となる学校での乱射事件に、米国内では、銃規制を求める声も挙がるが、トランプ大統領の腰は重い。

「全米ライフル協会は、トランプ氏の強力な支持団体です。トランプ政権は昨年2月、オバマ時代に導入された銃購入予定者のバックグラウンドチェックを強化する規制を撤廃し、むしろ銃規制緩和の方向です」(現地記者)

 トランプ氏は事件翌日、ツイッターで〈容疑者は精神的に不安定だったという多くの兆候があり、素行が悪く退学になっていた〉と綴った。事件から2日後、負傷者らを訪ねた際の会見でも、銃規制についての質問は一切無視。

 クルーズ容疑者の危険性について情報提供を受けながら事件を防げなかったFBIに対しては、「(存在もしない)ロシア疑惑などに気を取られ過ぎて基本的な仕事もできていない」と、論点をすり替えて猛批判した。

 この事件で14歳の娘を亡くした母親はこう述べた。

「大統領、あなたの息子さんのバロン君も学校に通っています。息子さんのためと思って皆を守ってください」

 この声が大統領に届くことはあるのだろうか。