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連載THIS WEEK

森岡 英樹
2016/06/03

またもや決算修正
もはや東芝は経済界の舛添

source : 週刊文春 2016年6月9日号

genre : ビジネス, 企業

6月に社長に就任予定の綱川智氏
Photo:Kyodo

 経営再建中の東芝は5月23日、11日前に発表したばかりの16年3月期連結決算を修正した。米原子力子会社ウェスチングハウスの減損処理額が「過剰計上」との監査法人の指摘を受け、損失処理額を159億円圧縮したもので、他の修正を含め、最終赤字が232億円改善した。一見、“うれしい誤算”だが、今の東芝では、別の疑心暗鬼を生む。

「ガバナンスがいまだしっかりしていない証。杜撰な決算処理が生んだ修正というほかない」(市場関係者)

 実は東芝は、同時に税金負担の計算方式にも誤りが発覚。同日付のリリースで「財務報告に係る内部統制に重要な不備がある」と認めている。

 会計操作により利益をカサ上げした不正会計が発覚してから1年がたつが、危機は未だに収束していない。この間、2度にわたり有価証券報告書の提出を延期。第三者委員会を立ち上げ、歴代三社長は追放・提訴された。株式は特設注意市場銘柄に指定され、増資も出来ない。

 それでも経営陣は「中核の原発事業は順調」としていた。ウェスチングハウスの減損処理にようやく踏み切ったのは、この3月期だ。

「当初、減損処理する必要はないと強弁しながら、結局、8割もの減損に追い込まれた」(経済部記者)

 一連の流れ、スキャンダル報道→当初は否定→一部認め謝罪→新たな問題発覚、は昨今話題の人物の言動と重なる。高額出張や政治資金の私的流用で批判にさらされる舛添要一東京都知事である。東芝は、「信頼を失っている」と自認している舛添氏と同じ状態だ。

 東芝は、決算修正と同時に2000億円超の減資を発表した。3月末で約4800億円に上る累損を一掃し、配当原資を捻出することが目的だ。減資により自己資本比率は8%台まで回復するが、健全性の目安とされる30%には程遠い。

 取引銀行は「東芝の債務者区分は正常先であり、引き続き支える」と言うが、稼ぎ頭のメモリー事業は市況の影響を受け収益が悪化すると予想されている。原発事業では、30年度までに45基の新規受注を計画するが、甘い見通しがいつまで維持できるのか疑問だ。

 信なくば立たず、は政界に限ったことではない。

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