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小泉純一郎氏が描く「野党が原発ゼロで結束すれば参院選圧勝」というシナリオ

「まさかの決断が必要」と訴える

 衆院選大勝ですっかり安倍一強に戻った永田町。そんな中、元気なのが小泉純一郎元首相(76)だ。2月、初となる回顧録『決断のとき』を出版した。原発ゼロの持論に加え、少年時代から人生を振り返りつつ、郵政解散や電撃訪朝など様々な政治決断の背景を明かしている。取材・構成を手掛けたライターの常井健一氏が経緯を語る。

「首相時代には『回顧録は出さない』と公言していた小泉氏ですが、一昨年に『引退後の原発ゼロ運動を本にしたい』と本人から提案があり、毎月会って聞き書きしているうちに、小泉政治の“虎の巻”が出来上がりました」

 東日本大震災から7年を迎えるこの時期に発売する日程も“小泉主導”で決まったという。3・11に照準を合わせ、年始には自ら「原発ゼロ法案」を発表。国会提出に向け、政界工作に乗り出しているが、回顧録ではこんな政局観を披露している。

〈政局の変わり目は参院選の年にあります。総選挙ではないのです〉

 自身が自民党総裁選に挑戦した1995年、98年、2001年はいずれも参院選前後に党内で政争が起き、総裁交代に至った。第一次安倍政権も、07年の参院選敗北で退陣に追い込まれた。

 ただ、民進党分裂を巡り、多弱が続く野党が来年の参院選に勝機を見出せるのか。

 実は最近、小泉氏は「野党が結束して原発ゼロを参院選の争点にすれば圧勝する」と周囲を煽っているという。

「立憲民主党は小泉氏に近い人物と連携し、3月中に原発ゼロ法案を国会提出する方針。幹部らは他の野党とも足並みが揃えば、参院選候補の1本化までワンイシューで一気に進めたい考えです。参院選は1人区が32と増え、野党の現職がほとんどいないため、候補者調整は難しくない。野党一本化の旗印を原発ゼロにすればまとまりやすい」(政治部記者)

 立憲が提出を目指す3月9日、小泉氏は都内で講演し、同じ週には、記者会見も開く。

「小泉氏は野党をテコに自民党を原発ゼロに変えようと考えています。自民党でも積極推進派は一握り。小泉氏の照準は『次期政権』に移っています。小泉氏に近い経済人がポスト安倍候補の1人と接触し、電力政策で意気投合。今後は、原発ゼロを公言する息子の進次郎氏の動きにも注目が集まります」(自民党関係者)

 それぞれの「決断のとき」が迫っている。