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安倍首相の消費増税再延期に
小泉元首相が思わぬ“援軍”

source : 週刊文春 2016年3月10日号

genre : ニュース, 政治, 経済

一方で「安倍さんは全部強引」とも

 2017年4月に予定する消費税率引き上げを巡り、永田町がざわつき始めている。

 2月26日の衆院総務委員会で、安倍晋三首相は「世界経済の大幅な収縮」が起きれば消費増税を延期する考えを示した。答弁を受けて、菅義偉官房長官も記者会見で、

「税率を上げて税収が上がらないようでは、消費税を引き上げることはあり得ない」

 と明言したのだ。

 消費増税再延期に永田町が震撼するのは、衆院の解散時期とも密接に関係するからだ。

「甘利明・前経済再生担当相の政治資金問題や宮崎謙介前衆院議員のゲス不倫問題など、自民党議員への信頼が失墜する一方で、民主・維新が合流し野党候補の一本化も進んでいる。参院選単独なら、与党の驕りにお灸を据えたいと、思わぬ厳しい結果が出かねない。98年の参院選では予想外の大敗で、橋本政権は退陣に追い込まれた。一方、政権選択の衆院選なら、そこまで厳しい評価にはならないと読んで、官邸はダブル選挙もできるよう準備を進めている。その際、増税再延期は解散を打つのに便利な大義にもなりうる」(自民党関係者)

 解散の障害になりかねなかった衆院の定数是正問題でも、安倍首相は議員定数の10削減で、党内調整を進めるよう指示を出した。

 消費税を巡っては、公明党が主張した大幅な軽減税率適用を、官邸の指示で自民党がのまされ、軋轢(あつれき)を生んだ。

「麻生太郎財務相の反対を、菅官房長官が押し切る形になり、しこりを残した。麻生氏は軽減税率に不満を隠そうとせず、今国会でも『混乱は間違いなく、ある程度起きると覚悟していかないと』、『(中小企業が廃業に追い込まれる)例が1つや2つ、百や千あったとか、いろいろ出てくると思う』と答弁し、物議を醸した。さらに、1兆円程度の軽減税率の財源も見つかっておらず、安倍氏や菅氏は『ならば増税を見送る』との構えです」(官邸関係者)

 思わぬ“援軍”も現れた。原発政策では安倍首相と対立する小泉純一郎元首相だ。2月25日に発売された単行本『小泉純一郎独白』で、こう語っているのだ。

「軽減税率なんて、高所得者対策なんだ。公明党は必死でやっているけど、最悪だよ」

「軽減税率を設けるぐらいだったら、消費税率を上げないほうがいいよ」

 安倍首相の結論は、小泉氏の持論と一致し、この4年で3回目の解散となるか。

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