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「これで女友だちと温泉に行ける」――乳がん経験者の「人工乳房」という選択肢

ブレストケア京都 #1

2018/03/20

製作スタッフの半分が乳がん経験者

──人工乳房を作るうえで、一番大変なことは何ですか。

 オーダーメイドの人工乳房は、約1カ月半かけて製作しますが、使う方によってまったく異なり、同じものが2つとして存在しません。また、お客様が心を開き、全面的に信頼してくださらないと、本当にお客様の望む製品は作れません。常に目の前のお客様に喜んでいただける製品作りを心がけてはいますが、「これが正解」というものがないので、失敗もたくさんあって、日々反省することばかりです。

──今は、製作スタッフの約半分が乳がん経験者だそうですね。

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 手探りで会社とスクールを始めたばかりの頃に、新聞で取り組みを紹介してもらったんです。それを見て来た2期のスクール生3人は、全員乳がん経験者でした。

 現在その3人は「ブレスト・アーティスト」として活躍していますが、乳がんで乳房を失った経験が、逆に彼女たちの強みになっています。

 

──この次の目標は?

 全国に「ブレスト・アーティスト」の仲間を増やしたい。そのためには、もっとたくさんの人に「人工乳房」という選択肢があることを知っていただきたいです。

 また、4月からはスクール5期を始めます。乳がん経験者で受講を希望する方からもたくさんお問い合わせをいただいていますが、病気やお客様への理解が深く、新製品開発にも「乳がんサバイバーの視点」でのアドバイスができる乳がん経験者のスクール卒業生は、今後も積極的に採用したいと思っています。

 乳がんという経験を生かせる専門家として、乳がん患者が治療と並行しながら活躍できる場所を広げていきたい。それが、次の目標ですね。

写真=山元茂樹/文藝春秋

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