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トランプ大統領の側近辞任報道に見る政権の危機

〈米大統領首席補佐官らがトランプ氏への不満で辞任か〉

 2月22日、英ロイター通信は、ケリー大統領首席補佐官とマクマスター補佐官(国家安全保障問題担当)のいずれか、または両方が近く辞任する可能性があると報じた。複数のトランプ政権高官の話によると、両者はトランプ氏から、公私に渡って侮辱的な扱いを受けていることに不満を抱えているという。

昨年も辞任説が流れたケリー氏 ©共同通信社

 最近では17日、マクマスター氏が米大統領選へのロシアの介入を“確信している”と述べたことに対して、トランプ氏がツイッターで猛批判する一幕もあった。

 日米外交筋は、この報道に危機感を露わにする。

「ケリー、マクマスターの両補佐官に、マティス国防長官を加えた3人の軍人出身の側近が、トランプ政権の重石役です。対北朝鮮政策などで軍事強攻策に傾きがちなトランプ氏に対して、軍人ならではのリアリズムで諫めてきた。もし彼らがホワイトハウスを去るようなことがあれば、世界の安全保障上、深刻な事態になりかねない」

 ケリー氏とマクマスター氏はロイターの報道に対して、未だコメントしていない。

 一方で、ワシントン・ポストは、外交面はマティス氏とティラーソン国務長官が仕切っているので、〈両者が去ったとしても混乱は起きない〉と冷ややかな反応だ。

〈ケリーはトランプ大統領をおさえるどころか、その傲慢で議会蔑視の傾向を増長させた。新大統領補佐官はケリーよりマシかもしれない〉

 だが、むしろ主張したいのは、これに続く一節だろう。

〈問題は(側近ではなく)トランプ大統領自身にある。その解決には弾劾、辞任そして選挙以外に方法はない〉

 弾劾にも現実味が生じている。ムラー特別検察官によるロシアゲート疑惑の捜査は、トランプ氏の周辺に着実に迫りつつあるからだ。

 あるホワイトハウス関係者は、「トランプ大統領の行動原理に国益という概念はない。全てトランプ自身の利益に基づくものだ」と語る。

「ロシアとビジネス上の接点があるのは確実だし、もしアメリカに対する犯罪行為があるならば辞任は必至だろう。重要なことはムラー検察官がトランプ大統領とその家族についてどういう事実を把握しているかだ」