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森岡 英樹
2018/03/02

「DMMはエロを卒業します」 アダルト事業分社化で証券界も熱視線

写真非公開を貫く亀山会長

 証券界が熱視線を送る企業グループがある。アダルトビデオの動画配信からゲーム、太陽光発電、FX取引、オンライン英会話、3Dプリンタ、水族館の建設など40を超える事業を展開するDMM.comグループだ。直近では仮想通貨のマイニング事業進出や、創業間もない現金化アプリCASHを運営するベンチャー「バンク」を70億円で買収して話題となった。

 そのDMMが稼ぎ頭のアダルト事業を3月1日付で分社化し、新会社のデジタルコマースへ継承すると発表し、証券界は色めきたった。ついに上場に向け、アダルト事業を切り離したと見られたのだ。

 DMMは、会長の亀山敬司氏(56)が一代で築き上げた。1961年に石川県加賀市の商家に生まれた亀山氏は、税理士を志して上京し、簿記専門学校に入学するが、興味が持てずに中退。その後、帰郷し様々な商売を手掛け、80年代後半に開業したレンタルビデオ店が大当たりする。

 ただ、過去にもAV業界で時代の寵児となった経営者は少なくないが、亀山氏が違ったのは、その先見性だ。

 AVメーカーを設立すると、他のメーカーを次々に買収し、版権を抑えたことで、一レンタル業者から制作会社になる。そして、亀山氏が目を付けたのが、ネット配信だった。

「ビデオレンタルがネットに変わる時代の転換点を見事にとらえ、AVの川上(制作)から川下(レンタル・配信)まで抑えることで莫大な利益を上げた」(証券会社幹部)

 その収益を他の事業に投資したり、M&Aを駆使することで、DMMは年商1800億円を超える一大企業グループとなった。これだけ収益性の高い企業を証券界がほっておくはずもない。ただ、そのネックが祖業にして稼ぎ頭のアダルト事業だった。

「AV業界は、反社会的集団の関係者も少なくない。さらに、最近ではAVの出演強要が政府も対策に乗り出す社会問題となっている。コンプライアンスとの関係で、アダルト事業を抱えたままでは上場は難しい」(同前)

 分社化による上場観測を、ツイッターで〈DMMはエロを卒業します。ただし、俺は新会社の株主だし、上場も考えてないよ〉と否定した亀山氏。異色経営者の真の狙いを証券界は注視している。