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ダンサー目線で見た、オリックス西勇輝の抜群の「牽制のキレ」

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/05
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 プロ野球の「投手の守備」というのは、球速の速さや変化球のキレといった「投球行為」に比べてあまり目立つものではないだろう。確かに大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)の165キロの直球や、千賀滉大投手(福岡ソフトバンクホークス)のお化けフォークなんかは相当に派手である。そんな意味でも、人々の話題やメディアにも取り上げて貰いやすい「投球行為」の方が話題に上るのはよく分かる話だ。

 しかし、人生において野球経験が全くなかったダンサーの私が、プロ野球の世界に深くハマるそのきっかけとなったもの、それは意外にも「投手の守備」なのである。そこで今回のテーマとしては、普段あまり話題になりにくい「投手の守備」、それも平昌五輪で活躍中の代表アスリートにも負けない、スタジアムで活躍する野球アスリート達の「動きのキレ」についてお話ししたい。

RISA

ダンサーにもアスリートにも不可欠! 動きのキレ

 私が中学生だったある日。たまたま父が見ていた野球中継を、父の側でなんとなく一緒に見ている、そんな時だった。ふとしたタイミングで、投手の牽制によるタッチアウトの瞬間を目の当たりにしたのである。投手が牽制をしているのは、勿論それまでも見たことはあった。だが実際に、牽制でアウトになる瞬間は初めて見る光景だったのだ。

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 中でも当時の私が一番驚いた事といえば、その投手の「牽制のキレ」の良さだった。「キレ」が良いという表現はなんとなくボンヤリとした表現である気もするが、要は素早い動きで止まるところはきっちり止まる。「動きにメリハリがある」といったところであろうか。

 私はちょうどその頃、通っていたダンス教室でダンスの「キレ」が足りないと指摘されることが多く悩んでいたのだ。だからこそ、この投手の牽制の「キレ」のよさに目がいってしまったのかもしれない。その時から私は投手の牽制、フィールディングやカバーリングといった「投手の守備」を注目して見るようになったのだ。

 そうなると野球女子としての視線が変わってくるもので、投手は5人目の内野手と考えるようになり、実際に「投手の守備」によってチームの守備力にも大きな違いが生じる事がぼんやり分かってきた。投手自身がエラーをした後に投球リズムを乱したり、最悪のケースではエラー後にいきなり打たれ始めるような事もある。そういった事を全て考慮すると、やはり12球団でエースと言われる投手は、守備面で明らかに劣っているという事がないのにも納得できる。まだまだ素人目線なのかもしれないが。

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