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中日・高橋周平、7年目の覚醒の予感

文春野球コラム オープン戦2018

2018/03/06
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 中日ドラゴンズの沖縄・北谷(ちゃたん)での春季キャンプが終了した。松坂大輔フィーバーが吹き荒れた今年の北谷キャンプ。話には聞いていたが、実際に見てみると本当にすさまじい数の報道陣とファンの数で、今年から球団広報になった赤坂和幸氏が大汗をかきながら松坂の後を駆け回っていたのが印象的だった。

 そんな中、熱い注目を浴びている選手がいる。昨秋から二塁手に挑戦している背番号3、高橋周平だ(以下、周平)。大本営・中日スポーツには「覚醒」「正二塁手」の見出しが躍り続け、森繁和監督もキャンプの「最も成長した選手」として周平の名前を挙げた。シーズン前に覚醒しても仕方ないと思うかもしれないが、ここ数年はシーズン前から不調だったのだから周囲が浮かれる気持ちもわかる。僕も浮かれている。

北谷キャンプで守備練習する高橋周平 ©時事通信社

 昨秋から挑戦している二塁の守備は、意外なほどソツなくこなしている。そして、なんといっても打撃だ。ここまでの対外試合で25打数10安打、2本塁打(3月1日時点)。自分のタイミングで、初球から迷いなくスイングしているところが素晴らしい。今季から二軍打撃コーチに就任した森野将彦そっくりの構えで、右方向に強い打球を弾き返すようになった。これこれ、こういう周平が見たかった!

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 以前の周平はタイミングがとれずに初球の甘い球を見逃し、追い込まれてから難しい球に手を出して凡退というパターンが多かったが、秋季キャンプではチーフスカウトから転身した石井昭男二軍打撃コーチと森野コーチによって徹底的に始動のタイミングの修正が行われた。始動を早くすることで、前のほうでボールを叩けるようになり、好結果に結びついているのだという(中日スポーツ 2017年11月6日)。春季キャンプでは波留敏夫打撃コーチとマンツーマンで居残り特訓をやり抜いた。波留コーチは横浜で内川聖一を、ヤクルトで山田哲人を育てた杉村繁コーチと同じティー打撃のメニューを周平との特訓に取り入れている(中日スポーツ 2月24日)。

 一塁を守る主砲・ビシエドと三塁を守る福田永将に弾かれる形で二塁を守ることになった周平だが、腐った様子は見せていない。昨秋から泥まみれになってノックを受け続けてきたが、そのおかげで体のキレが良くなり、打撃に好影響を与えているという見方もある。そんな周平には、巨人で二塁を務めたケーシー・マギーの金言を贈りたい。「僕は一塁手や三塁手ではなく、野球選手なんだ。最善の準備をすることは当たり前さ」

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