昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

輸入関税問題でわかった、トランプリスク最大の被害者は日本

2018/03/14
NOと言えない日本 ©文藝春秋

〈貿易戦争だってかまわない。勝つのは簡単だ〉

 トランプ大統領がツイートした鉄鋼25%、アルミニウム10%の輸入関税問題が世界に波紋を広げている。主要国の株価は軒並み急落。市場では「いよいよトランプリスクが顕在化した」(大手証券幹部)と身構えている。

 実は、米国の輸入のうち、鉄鋼とアルミニウムが占める割合は2%程度にすぎず、貿易赤字の解消策としての有効性は微々たるもの。むしろ、対象国の報復措置により、世界貿易への悪影響は必至だ。

 だが、輸入関税そのものより世界経済にとって深刻なのが、トランプ大統領の経済政策が予測不能に迷走し、リスクとなっていることが、露呈し始めた点だ。

 TPPからの離脱を宣言したかと思えば、再加盟に言及。通貨政策も、マルパス財務次官が「米国の債務と財政赤字拡大を憂慮している。非常に厳しい状況だ」とドル安を懸念する一方で、ムニューチン財務長官は「ドル安は米国の貿易にとって良いことだ」と発言するなど、財務省内ですら統制がとれていない。

 通貨の番人であるFRB(米連邦準備制度理事会)では7人の理事のうち4人が空席のままだ。

 トランプ政権の経済チームは、ゴールドマン・サックス出身者が固めており、それが市場に安心感を与えてきた。

「だが、その中心人物であるコーン国家経済会議委員長が輸入関税に反対して辞任するのではないかとの観測も出ている」(市場関係者)※3月6日に辞任を表明

 また、金融市場ではサブプライムオートローンと呼ばれる時限爆弾が指摘されている。

「本来は手がでない車、SUVなどを低金利のローンを組んで買った層が、金利上昇で返済困難になりかねない」(同前)

 そして、輸入関税問題で最もダメージを受けそうなのが、

「日本です。安倍・トランプ関係を考えると、アメリカの経済政策に表立って反発するわけにはいかない。輸入関税で、アメリカへの輸出が難しくなった鉄鋼製品などが、アジアに流れ、日本は利益を稼ぎにくくなる。また、ドル安円高が進んでおり、日本の輸出企業の決算に悪影響が出るでしょう」(金融関係者)

 やはり、アメリカはジョーカーを引いたようだ。