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2018/03/12

ピンチをチャンスに変える逆転の発想

 もともとこの世界では、コスプレ姿の撮影をその道で知られたカメラマンにお願いするケースも多く、実はConyさんもカメラマンとしてコスプレイヤーから撮影を依頼されることがよくあった。しかし、状況的にプロとしてはどんどん稼げなくなっている。そんな現実を踏まえて、Conyさんは発想を転換。自分が撮影するよりも、コスプレイヤーを撮影したいカメラ趣味の中年男性と、お金を払わずにできるだけキレイに撮ってもらいたいコスプレイヤーがリアルにつながる場所をつくって提供したほうが儲かると確信。コスプレ向けのスタジオの運営を思いつくと、物件探しに着手した。

「当時、事業を始めるための資金は60万円しかなかったので、とにかく家賃が激安の物件を探しました」

 見つけたのは足立区の五反野にある廃墟同然の物件で、5階建てビルの3階。広さ130平方メートルで、月々の家賃は7万円だった。

「実はそのままの状態では借り手がつかず、大家さんが建物の解体費用や逆に維持するための固定費がかかるくらいなら、安くても人に貸したほうがマシだと考えていた物件だったんです」

 安さを最優先に考えていたConyさんには絶好の条件だったので、この物件を借りることに。でも、その分リノベーションにお金がかかりそうだが?

一見、コスプレと無関係の経験が活きた

「ボロボロの物件でしたが、内見した時にここをこう直したらイケるとわかったんです。住宅メーカーで長年、建築に携わってきた経験がここで活きました」

 そして、DIYで自らリノベーションを行い、初期費用を家賃や敷金、礼金を含めて予算内に抑えることに成功。まずは白ホリと黒ホリ、つまり中が真っ白と真っ黒のスタジオをつくってオープンさせた。とはいえ、黙っているだけでは当然お客さんは来ないため、コスプレイヤーとカメラマンの出会いの場にもなっているCOSPLAYERS ARCHIVEというコスプレイヤー専用SNSのイベント掲示板に無料で告知を載せたり、有料のバナー広告を使って集客を行った。

利用時間内であれば、さまざまなエリアを自由に行き来できるのがコスプレスタジオの特徴。写真は「TOKYO UNDER GROUND shinjuku studio」の教会風エリア

「2013年1月にオープンしたんですが、最初の3ヶ月は認知不足で全然お客さんが来ませんでしたね。そもそもコスプレスタジオという存在自体が新しかったんです。そのため当初は空いている時間にカメラマンとして外部の仕事も行っていました。でも4月になると告知が効いてきたのか、週末には多くのコスプレイヤーの方にご利用いただけるようになって、月商が150万円を突破。経営が軌道に乗り始めました」

 これで手応えをつかんだConyさんは、翌5月に空室だった3階から上の4階、5階、屋上の3フロアを、まとめて家賃10万円で契約。すべてスタジオにしてオープンすると、そこから売上が一気に増えていった。

部屋全体を入れたり、コーナーを利用するなど、撮影の仕方はさまざま。写真は「TOKYO UNDER GROUND shinjuku studio」の黒ゴシックエリア