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連載尾木のママで

「国語が苦手だといじめっ子になりやすい」発言の真意――尾木ママ語る

尾木のママで

2018/03/15
イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 先日出演した「ホンマでっか!?TV」でボクが“国語が苦手だといじめっ子になりやすい”と発言したら、たちまちネット上で「国語力って何?」「成績の良いいじめっ子もいる」等、賛否や疑問の声が交錯。でも、どうもボクの真意が伝えきれていないみたい。改めて説明させてね。

“得意科目から人間性がわかる”がその回のテーマだったから、テレビ的表現をしたのだけど、ここでの国語力とは「文章を読み、理解したことを自分の言葉で表現する力」のこと。共感力や想像力に近い。この力がいじめっ子は弱い、というのが教員生活四十年のボクの実感ね。

 一方で、いじめの研究を三十年以上続けてきた経験から言うと、最近のいじめは様変わりしたわ。十数年前であれば、「先生の受けがよい」「口達者」「成績も悪くない」「積極的だが無責任」「自分の内面が弱く精神的に自立できていない」といった、加害者像が描けた。これらは今でも通用する部分もある。でも、現代のいじめは、「誰でも容易に加害者にも被害者にもなりうる」のが最大の特徴なんです。

 その背景には、ネット社会の広がりと浸透がある。最近のいじめはほとんどがネット絡みね。SNSのスピーディーなやり取りが子供達の想像力をさらに衰えさせて、デジタル文字で「死ね」と言われる子の気持ちを想像できなくなってしまうの。ネットやSNSは便利だけど、いじめや攻撃のツールにもなりうる危険を、大人も子供と共に考えていかなくてはいけないわね。

 いじめ問題の一番の課題は「いじめっ子」にしない子育て・教育。他人の気持ちを慮る力を育むには、色々な役を演じる「ごっこ遊び」や登場人物の気持ちを想像する「読み聞かせ」等がおすすめよ。特に自然の中での原体験は地頭がよくなりHQ(人間力指数)も上がる。ボク達大人も国語力、伸ばしたいわね。