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学生に「不条理さ」を体感させるブラック企業の異様な採用選考

「おかしなテンション」になって「みんな泣いていた」

2018/03/22

 1次選考:会社説明会。6人でのグループ・ディスカッションが行われた。「受かったら行きますか?」という質問書類に〇をつけ、後日電話が来た。

 2次選考:泊まりのディスカッション。丸2日。本人は絶対に泊まりたくなかった。しかし、「言いくるめられて参加」した。「二つのグループに分かれて、A社に入社して10年後の未来、軌跡を20分くらいの劇にして発表しろ」といわれる。ナレーション役などを分担。案を持っていくと、「こんなのは誰でも想像できる。A社でしかできないことを」と何回もダメだしされた。最後は、参加者全員を褒める。その後、食事会。

 3次選考:「1人35分で、カウンセリングのロープレ(ロールプレイング)をしなさい」「ロープレでは、自分にしかできないものを出してください」といわれる。与えられる資料は、新宿店の店長がロープレをやっている映像だけ。とにかく必死でメモをとった。

 4次選考:社長と面接。普通に会話しただけで、何を見ていたのか分からない。「なんでそんなになりたいの?」「美容業界ってけっこう大変だよ? それでもやっていける?」と言われた。それに対しては「がんばります」と答えた。

最終選考の舞台となった表参道 ©iStock.com

求人票にも内容が書かれていない「シークレット選考」

 5次選考:最終選考。これは「シークレット選考」=求人票にも内容が書かれていない(4次までは書かれている)。一日中、原宿から表参道付近を駆け回りながら課題をこなしていく。フェイスブックで行動の指示が出る。

【一つ目の指令】

「一つ目のミッションよ。その日に使う道具があるから、ロッカーのところに行きなさい」との指示。ロッカーにはノートとペンがあった。そして、グループ分けの指示。「今日はこのグループ同士で対抗していくから」といわれる。

【二つ目の指令】

 目隠しをした選考参加者の手を引っ張って、2人で原宿の明治神宮の参道を歩く。これを交替交替で行う。歩いた先に袋があり、500円が入っている。「絵馬を買って合格祈願しなさい」といわれる。

【三つ目の指令】

(1)何十人もの人に声をかけて、会社のコンセプトを話して、自分たちに対して何か一言メッセージをもらって、そのメッセージを写真に撮って、フェイスブックにアップしなさい。

(2)それをやりながら、時間内に表参道の目的地まで到着しなさいという指示。これをやっているのをX社(研修会社)の2人がずっと見ているという状況。しかし、本人はミッションを達成できなかった(時間通りに目的地に着けなかった)。

【四つ目の指令】

「再挑戦のお願いをムービーでアップしなさい」といわれる。許可が出て、もう一度やった。でもできなかった。「なんでチャンスをくれたか分かる?」と聞かれる。この段階でみんな泣いていた。

「変なテンションだったと思う」。本当はやめたかったが、1人だめなら連帯責任で全員不採用なので、降りられなかった。