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“佐川先輩”の逆を行く「いくら何でも」太田理財局長の独自路線

目立たないエリート官僚の「運と不運」

2018/03/26
note

「官僚の鑑」佐川氏との大きな違い

 で、佐川氏である。うっかり人間味を露わにした太田理財局長と違い、「官僚的」に徹してきた。ちなみに入省の年次は太田理財局長の1年先輩で、かの片山さつきとは同期である。

 その佐川は、いや佐川氏は昨春、国会で森友学園への国有地売却問題に関して、「記録は破棄した」の一点張りを貫き通し、以降も一切の弁明をすることもなく、その甲斐あって安倍首相からは「官僚の鑑」(注5)との評価をいただくことになる。まさに「無駄なことは語らず」だ。おまけにその後、ホテル住まいの雲隠れまでして「目立たず」である。

佐川宣寿・前国税庁長官(82年入省) ©共同通信社

 1年後輩の太田理財局長は、「いくら何でも」のほか、改竄の文書に安倍昭恵氏の名があったことについて「総理夫人だということだと思う」と言って、予算委員会を盛り上げるなど、「目立たない。無駄なことを言わない。相手の言うことを否定しない。大きな声を出さない」の反対をいく。佐川も、いや佐川氏ももう官僚でなくなったのだから、「無駄なこと」を語ってもいい時期なのかもしれない。

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(注1)文春文庫『日本映画ベスト150』収録の中野翠「デモーニッシュな彩りにみちた女優」
(注2)週刊新潮 2018年3月29日号
(注3)岸宣仁『財務官僚の出世と人事』文春新書
(注4)週刊ポスト  2017年12月22日号
(注5)週刊ポスト 2018年3月2日号

“佐川先輩”の逆を行く「いくら何でも」太田理財局長の独自路線

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