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趣味は「洗車」 阪神・石崎剛が掲げる2つの「究極の目標」

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/04/07
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身の回りの世話をしてくれた祖母への恩返し

 藤川も「(石崎は)天然で天才。一つのことに集中した時の能力はものすごく高い選手」と独特の表現で称賛。裏を返せば高いポテンシャルをシーズン中、安定して発揮し続けるかが課題になる。百戦錬磨の藤川からも「(石崎は)全力でやっちゃう。投手としては向いてるけど、長くは続かない。1球というのは、シーズンで投げる600球から700球のつなぎと思えば」と助言を送られた。

 石崎自身も、ことあるごとに取材現場で今季の目標に「60試合登板」と口にし、フルシーズン戦うことを強く意識。昨季、50試合登板以上を果たした6人が顔を揃えるリーグ屈指のブルペン陣に名を連ねて、開幕1軍入りした今季は、一皮むける千載一遇のチャンスを手にしている。

 マウンドでの躍動を届けたい人がいる。働きに出ていた父の代わりに、身の回りの世話をしてくれた祖母・房子さんが、プロ入り前、89歳で亡くなった。「剛には真っ白なユニホームで野球をして欲しい」と毎日、手洗いでユニホームを純白にしてグラウンドに送り出してくれた。冬にはあかぎれで鮮血に染まる房子さんの両手は「今でも忘れられない」と目に焼き付けている。幼い頃「僕がプロ野球選手になって、おばあちゃんに3階建ての家を建てる」と約束した。「おばあちゃんに野球で恩返しがしたい」と胸に秘め、プロで腕を振ってきた。

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 入団会見で語った「たけし車」の他に、石崎には、もう一つ「究極の目標」がある。チームでは12年まで務めた藤川以来、絶対的な日本人の守護神が現れていない。「最終的に目指しているのは、そこなので。結果を積み重ねて、信頼されるようにしていきたい」。プロ入り前に151キロだった球速は、現在155キロまで上昇するなど今も進化を続ける。直球に夢を乗せ、石崎はきょうも力の限り腕を振る。

遠藤礼(スポーツニッポン)

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