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6人死傷の160キロ信号無視
暴走事件は異例の裁判員裁判に

source : 週刊文春 2016年4月21日号

genre : ニュース, 社会

緒環容疑者(フェイスブックより)

 深夜の車道にパトカーのサイレンが響き、時速160キロの外車が赤信号を無視して走り抜け、衝突された車が吹っ飛ぶ――。ハリウッド映画さながらの光景が繰り広げられたのは東京・世田谷の高級住宅街だった。5人が負傷、1人が死亡したこの事故を警視庁担当記者が解説する。

「3月23日未明、世田谷区用賀の国道でアウディ製の車がタクシーを含む4台が絡む衝突事故を起こし、運転手の村松豪さん(49)が犠牲になりました。当て逃げ容疑で警視庁に逮捕されたのは緒環(おだまき)健蔵容疑者(20)。テールランプが壊れているのを不審に思ったパトカーの追跡を振り切ろうとして、事故を起こしたとみられています。猛スピードで車に衝突して、金属片が飛び散る衝撃的な映像が残っていたこともあり、連日報道が続きました」

 緒環容疑者は3月24日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と道交法違反(当て逃げ、酒気帯び運転)の3つの容疑で送検された。

「危険運転致死傷が入ったことで、略式裁判が主流の交通事故としては異例の裁判員裁判が開かれる見通しになりました」(同前)

 裁判員裁判にかかった交通事故では2014年、東京・池袋で歩行者が死亡した危険ドラッグによる暴走事故が比較的記憶に新しい。

「警察は、池袋の事故のように酒や薬物による危険運転致死傷罪で立件することも検討しました。が、カメラの映像などから赤信号で時速160キロ以上出していたことなどが判明。より証拠が固いことから、『信号無視』による危険運転致死傷罪での立件にこぎ着けました」(同前)

 緒環容疑者は運転免許も不携帯。事故直前に自己申告だけで緑茶ハイを3、4杯。外車は友人から50万円で買ったもので、他人名義。捜査関係者の間では、緒環容疑者のプロフィールも密かに話題になっている。父親がいま分裂で揺れている指定暴力団山口組の関係者なのだ。

「通常、裁判での身元引受人は家族ですが、それが暴力団関係者となると更生に疑問を抱かれて刑があまり軽くならない可能性があります。民事での賠償額も巨額になりそうです」(司法関係者)

 容疑者は昨年3月にも都内で信号無視をしてバイクをはねる人身事故を起こしていた。