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韓国大統領経験者はなぜ、みな不幸な末路をたどるのか

2018/04/02
ソウル中央地検に出頭した李氏 ©共同通信社

 3月23日未明、韓国の李明博元大統領(76)が、収賄などの疑いで逮捕された。歴代大統領としては、全斗煥、盧泰愚、そして朴槿恵に続く4人目の逮捕者となった。

 裕福でない家庭で育った李氏は、学生時代にデモに参加した経歴が祟り、就職に苦労するが、朴正熙大統領(当時)に“苦情”の手紙を送り、まだ中小企業だった現代建設に入社。20代で理事、30代で社長、40代で会長と、トントン拍子で出世し、ついに大統領に上り詰めた。

 サラリーマンの成功神話を極めた李氏だが、今回の逮捕は、国家情報院からの裏金やサムスングループなどからの総額約11億円の収賄の容疑が指摘されている。

 これに対して李氏は「この捜査は盧武鉉元大統領の死に対する政治報復」と主張する。李政権時代、検察の捜査を受けていた盧氏が自殺した事件に対し、盧氏の秘書室長だった文在寅大統領が報復しているというわけだ。

 朝鮮日報も社説で、〈(容疑よりも先に逮捕ありきの)典型的なターゲット捜査だ〉と批判したが、元大統領の悲劇を何度も見せられてきた国民の反応は冷ややかだ。既に起訴された元秘書官らが李氏の容疑を認める供述をしており、「カネはある種の信仰」と語っていたという李氏の拝金主義が明らかになったからだ。

 それにしてもなぜ韓国の大統領経験者の末路は、みな不幸なのか。多くの専門家は、大統領が検察、国家情報院、国税庁、警察庁に至るまで、国家の権力機関の長をすべて任命する政治構造上の問題を指摘する。大統領に絶大な権力が集中し、かつ警察や司法機関も握っているため、賄賂の“聖域”となりやすいのだ。

「憲法を改正し、一極集中した権力を分散すべきという世論もあります。実は文政権は26日、国会に提出する改憲案を発議しましたが、大統領の権限縮小の条項は、含まれていません」(現地記者)

 文大統領もまた前任者たちと同じ轍を踏むのか。

「格差解消を掲げる文氏は財閥と距離がある。過剰な対北宥和には首を傾げたくなるが、汚職するタイプではないと信じたい(苦笑)」(同前)

 最近では、「政権ごとに刑務所を別々に作ろう」というブラックジョークまで飛び交っている。