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吉田照美に訊く「会話を盛り上げるツボは“どうーなってるの?!”」

吉田照美の「話術とは何か」#2

「自分の話し方を磨こうと思うのなら、最初はまず『この人の話し方はいいな』と感じるモデルを見つけることから始めるべきです。でもただ真似するだけではだめです」

 昨年、36年間続いたラジオの帯番組がひと段落ついたところで『「コミュ障」だった僕が学んだ話し方』を上梓した吉田照美さん。トークの神様の「しゃべり談義」後編です。

前編より続く

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生放送中の「寝落ち」事件から学んだこと

『「コミュ障」だった僕が学んだ話し方』(吉田照美 著)
『「コミュ障」だった僕が学んだ話し方』(吉田照美 著)

――話すことが上手な人は「聞く」ことも得意なものでしょうか?

 口下手でも社交的な人はいますし、反対によくしゃべるけれど非社交的な人もいます。僕はよくしゃべるけど人の話を聞いていない。サービス精神はあるつもりですが、人の話をよく聞かないところがありますから、おそらく社交的ではないでしょう。

 ラジオのMCをやっていると、当然ゲストの方の話を聞いたりすることが多いのですが、一度大失敗をしでかしました。生放送中に「寝落ち」してしまったのです。昼下がりの帯番組でゲストは江戸風俗の専門家でした。そのころは午前にテレビの『どうーなってるの?!』に出演し、午後にラジオの帯番組を担当していました。ハードスケジュールで疲れていたのでしょうね。江戸時代の風俗を研究者をゲストに呼んでお話を聞いている最中、失礼ながら退屈で意識がどんどん遠のくようなひどい睡魔に襲われまして。そして、僕が質問しなくてはならないタイミングで、ガクッとそのまま眠ってしまったんです。一瞬のことでしたが、ゲストが気を遣ってそのまま話し続けてくれたおかげで、なんとか難を乗り越えました。

 僕のしたことは最低ですが、庶民の色っぽい話や、バカバカしい江戸の習慣なんかをちょっと織り込んでくれないかな、と期待をしていたんです。ですが、いつまでたっても楽しい話題に変わる気配がない。気がついたら寝ていたというわけです。本当に失礼なことをやってしまいました。

 でも、この事件は僕に、人に話を聞いてもらうには相手が退屈しないよう気遣いはしたいなと、戒めにしています。相手の反応を見て、退屈しているのは、だいたい顔を見ればわかりますから。わかれば話題を切り換えるように注意をしていますが。

©山元茂樹/文藝春秋

 聞く立場からすると、自慢話もきついです。いや、NGですね。僕自身はしないよう肝に銘じています。自慢話が退屈なのは、結局最後は成功したという結末がわかっているから。話し手は、手柄を強調したくて仕方ないでしょうが、聞いている方はうんざりしています。

 もちろん、すべての自慢話がだめということでなく、中にはこちらがぜひ聞きたい手柄話というのもあります。ただ、振られていないのに、自分から話すのはどうかと。自慢話ばかり、手柄話ばかりという人は、けっこう多いですね。聞いているこちらの反応が鈍くなっていることに気づいてほしいな、とは思いますが、なかなか気づいてはくれないものです。