昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

占い師・しいたけが芥川賞作家・村田沙耶香を占ったら……トーク編

人気作家と気鋭の占い師、それぞれ90年代に暗い青春の過去が?

 若い女性の間で「心に沁みる」「当たる」と火がついた「しいたけ占い」は、今ではビジネスマンをはじめ、ふだんあまり占いを見ない層までが「ゆるい雰囲気なのに腑に落ちる」とハマり中。しいたけさんの最新著書『しいたけ占い 12星座の蜜と毒』は増刷を重ね、10万部を超えるベストセラーに。

 あの芥川賞作家の村田沙耶香さんもチェックしているらしい、という噂を聞きつけて今回が初対面というお二人をお誘いしました。

「しいたけ占い」は、占い師・しいたけ、イラストレーター・タロアウト、「VOGUE GIRL」のコラボレーションによって生まれたコンテンツ。©TAROUT

学生時代に週5で励んだファミレスのアルバイト

しいたけ 僕はふだんあまり小説を読まないんですが、『コンビニ人間』はページをめくる手が止まらず、久しぶりに小説を読む喜びというものを味わいました。

 人間の暗い部分、社会に吐き出せない、吐き出しちゃいけないような暗さが、明るい照明が光り続けるコンビニと対照的に描かれていて。僕自身が暗い人間だから、暗いものに惹かれるんです……って、いきなりこんなことを、すみません(笑)。

村田 いえ、ありがとうございます(笑)。

©榎本麻美/文藝春秋

しいたけ 村田さんはずっとコンビニで働いているとのことですが、僕は18歳から30歳までファミレスで12年間アルバイトをしていました。時々入ってくるんですよね、作品に登場する白羽(しらは)さんみたいな、生きづらそうな人が……。みんなで売り上げ目標とかを立ててチーム一丸となってやっているところに、異物のような存在ですよね。35歳でコンビニにアルバイトしにきた目的が「婚活」っていう(笑)。

村田 ふふふ。

>>>第155回芥川賞受賞作『コンビニ人間』をおさらい

『コンビニ人間』(村田沙耶香 著)
『コンビニ人間』(村田沙耶香 著)

 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目だ。これまで彼氏なし。
オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。

 仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。

 ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。

 

しいたけ 読みながら過去のいろんな情景を思い出しました。ああ、こうだったなぁと。大学時代の僕は、サークルや恋愛などのハッピーライフとは縁がなくて、他に行き場所もなかったから週5でシフトに入ったりしていたんです。だから村田さんも、もしや自分と同じタイプの人なのでは? と思ったりもしたのですが、主人公の女性、古倉さんがこれまたぶっとんだ人ですよね。子供時代に男子生徒をスコップでぶん殴っちゃうという。

村田 はい、そうです。

しいたけ どうしてああしようと思いついたんですか?

村田 以前の私の小説の主人公はそれこそものすごく暗い人ばっかりだったんですけど、もう少し明るい人で、悪気がなくてただ合理的に生きているだけなんだけど、周囲に「なんで?」と糾弾されてしまう、という人にしたくて。

 子供時代の彼女は死んでいる小鳥を「焼き鳥にして食べよう」と言います。もしも野生の動物だったらとった動物を食べるのは普通のことだと彼女は考えている。でも、まわりからは残酷だと言われてしまいます。「人間のルール」にぱっとなじめないんです。すごく変かもしれないけど、その人側から見ると他の人たちが変、という。いつもと違うところにカメラが置いてあるような小説を書いてみたかったんです。