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西武・鈴木将平が憧れの先輩、秋山翔吾から学んだこと

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/03/29
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一軍キャンプを共に過ごした秋山からの助言

 そうした姿をそばで毎日見ていた秋山選手は、日本球界を代表する超一流外野手としてのシビアな視点から、改めて高卒2年目の後輩へアドバイスを送る。

「あれだけ安定してバットが出せるバッティングが、今の将平の一番の魅力だけど、レギュラーでやるには、守れなければいけない。もっと守備に興味を持って、『どうすれば、より球に寄れるか』『良いスローができるか』ということを、早いうちに考えておいたほうが良いと思う。

 当然、打って結果を出すのが一番のアピールになりますが、1年間レギュラーとして出場すると考えた時、守備固めで交代されられてしまったら、年間で何十打席かは、他の選手にあげなければいけない。代わって入った選手が、そのチャンスを掴む場合だって多々あることですし、その1打席で、例えば規定打席に足りないとか、ヒットが何本か打てていたかもしれない、ということになる可能性だって、十分ありえます。僕自身も、スローの安定感だったり、球際の部分に対してそこまで自信がない中でやっているので、必死です。そこはもう、日々の信頼の問題。守備は数字に表れないので、今から早めにやっておくべきところだと思います。

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 将平は、最後まで勝負を担うような、責任のあるポジションをやらなければいけないやつだと思っています。また、それを期待されて、一軍キャンプにも呼ばれたんだろうなと、見ていて感じました」

辻監督が背番号「46」に求めるもの

 3年連続フルイニング出場を続ける秋山選手の高いプロ意識に触れ、これまでは、弱点の守備に対して「最低ラインはできるように」だった意識が、「弱点を長所にしよう」とまで向上したという鈴木選手。その意欲は、辻監督が将来性に期待をかける背番号「46」へ求める課題とピタリと合致する。

「打つだけで良いという考え方だけは一番ダメ。自分の1つの守備のミス、走塁のミスでチームに迷惑がかかるという責任を常に感じないと。走攻守、全てにおいて、うちの外野手のレベルに比べたら、まだまだ。要するに、『普通に守れるからいい、普通に走れるからいい』というものではない。一軍では、バント、守備、走塁術などが要求される。体力も必要。そうした目に見えない細かいところを、まだまだ磨いて、成長しなければいけない。一軍で生き残って、飯を食っていくためには、どうしなければいけないのか。いろいろな意味で、自分のタイプを作り上げていくことが一番大事」(辻監督)

「まだまだ」と、力量不足を痛感する結果となったが、他の一軍選手と同様の厳しい目で評価された上での、一軍レベルでの“現在地”を身を以て知れたことは、何よりの収穫だったに違いない。オープン戦で6試合11打席に立ったが、安打を記録することができなかったことも含め、本人も、「若いからしょうがない」などと大目に見た評価をされることを一切望んではいない。「しょうがない、では済まないので。今回の経験も、もちろん感謝していますし、得たものはとても大きかったですが、経験だけで済ませたくありません」と、むしろ、持ち前の負けず嫌い心に火がついたようだ。

「将来のライオンズを背負って立つ逸材」と、誰もが認める選手。この2ヶ月間での学び、悔しい思いを肥やしに、今季中に一軍昇格を掴み取ることができるか。二軍戦での取り組みも含め、これからも見続けていきたい。

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