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力はあるのに野心ゼロ カジノを仕切る細田博之氏の本音

政界屈指の読書家で知られる ©文藝春秋

 カジノ解禁に向けた統合型リゾート(IR)実施法案の提出日程がずれ込んでいる。本来なら超党派のIR議連の会長として調整役を担うはずの自民党の細田博之氏(74)が、憲法改正に掛かりきりになったことも一因だという。

「IRは自民と公明の与党協議で条件を詰めてきましたが、かなり難航しました。細田氏は憲法改正推進本部の本部長としても、3月25日の自民党大会までに改憲案について党内での意見集約をするという重責を担っていた。森友問題で内閣支持率が低下したうえに憲法改正すら押し込めないとなれば、安倍晋三首相の求心力の低下が露呈する。それを避けるため、強引に本部長“一任”で押し切ったのです」(政治部デスク)

 首相の意向を受け、忠実に実務をこなす能吏。その一方、安倍氏の出身派閥で自民党最大勢力の細田派の領袖でもある。

「細田氏は東大出身で通産官僚を経て政界に身を転じた2世議員。彼の父、吉蔵氏は福田派の重鎮として、安倍氏の父、晋太郎氏とは近しい関係にあった。その意味では安倍氏が重用する先代から縁のある側近の1人ですが、官房長官も党幹事長も経験していながら総裁選に出馬する野心もなく、利権も追わない。極めて珍しいタイプです」(同前)

 国際的な知名度もあり、有能なテクノクラートでもある。

「原子力工学にも精通しており、米国からの評価も高い。4年前に日本の安全保障政策の司令塔、日本版NSCの初代局長に谷内正太郎元外務次官が抜擢された時、カウンターパートであるはずの本場、米国のNSC内部には『なぜ細田がやらないのか』という声もあった」(外務省関係者)

 ただ、ソフトな物腰には似合わぬ本音を漏らし、物議を醸すことも。

「彼は5年前にテレビ出演した際、『憲法は不磨の大典ではない。法令の1つだ。日本国憲法というと立派そうだが、日本国基本法という程度のものだ』と発言して一部で批判を受けました。ただ、これは彼の本音に近い。憲法改正の取り纏め役を担いながらも、腹の内では今の憲法はなくても良いとさえ思っているのです。カジノについても、そもそも関心が薄い。細田氏自身、最近は周囲に『別にやらなくてもいいんじゃないか』と漏らしています」(自民党関係者)

 カジノを巡っては、与党・公明党も腰が引ける中、改憲案同様、押し切るのか。細田氏の差配が注目される。