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アマゾン課税強化の動き ヨーロッパに続きアメリカも

2018/04/06
ベゾス氏の資産は約11兆円 ©共同通信社

 3月28日、トランプ大統領がアマゾンを標的に課税強化を検討している、と報じられると、同社の株価は一時100ドル以上下げ、時価総額で約500億ドルが消し飛んだ。

 トランプ氏の本音が、政権に厳しい論調で知られるワシントンポスト紙の社主であり、アマゾンCEOであるジェフ・ベゾス氏への攻撃であることは言うまでもない。

 ただ、アメリカにとどまらず、アマゾンなどグローバル企業への視線は厳しさを増している。特に、イギリスでは租税回避が批判の的だ。

 イギリス議会では、2012年に、アマゾンとスターバックス、グーグルの代表者を呼んでイギリスでの売上に対してほとんど税金を払っていない問題で、公聴会を開いた。

 当時、決算委員長で質問の口火を切った労働党のマーガレット・ホッジ議員は私の取材にこう振り返った。

「3社の中でも、アマゾンの対応が一番ひどかった。納税額に関する情報はもとより、ヨーロッパ本社のトップが誰であるのかさえ、答えることを避けた。その秘密主義ぶりには呆れた」

 直近2017年のアマゾンの売上高は、1778億ドル超(約20兆円)。しかし、税引き前利益は38億ドル(約4100億円)と利益率2%台に抑えられているのは、利益を設備投資や新商品の開発に充てることで、課税を避けるためと見られている。決算書からはアマゾンが8億ドル弱(約900億円)しか法人税を払っていない計算になる。

 ヨーロッパでは既に課税強化の動きが強まっている。EUは昨年10月、アマゾンに2006年〜14年分として、2億5000万ユーロ(約330億円)の税金を払うように命じた。また、フランスでは、アマゾンが今年2月、06年〜10年分として、2億ユーロ(約260億円)の税金を支払うことが決まった。今回のトランプ大統領の発言には、こうしたヨーロッパの積極的な動きが本国に還流したという側面がある。

 グローバル企業の租税回避については、批判を受けて、英ボーダフォンが自主的に国別の納税額公表に踏み切った。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と呼ばれるグローバル企業は批判にどう応えるのか。