昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2018/04/15

 亀井静香は省庁の幹部職員の人事を一元管理する内閣人事局を不要だと断じる。内閣人事局は2014年に内閣法の改正で設置され、内閣人事局のホームページによれば「内閣人事局は、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担う組織として、関連する制度の企画立案、方針決定、運用を一体的に担っており、具体的には以下の3つの分野(引用者注:〔1〕国家公務員の人事行政、〔2〕国の行政組織、〔3〕幹部職員人事の一元管理)に関する取組を強力に推進」する組織である。

亀井静香 ©文藝春秋

 2000年代後半に政治機構改革の流れのなかで政治主導を実現する手法として検討されたが、人事権を握られることを嫌った官僚サイドの働きかけもあり紆余曲折を経て、第二次安倍内閣のもとで導入された。第二次以後の安倍内閣はこの新手法を駆使してきたが、亀井はこの制度のもとで行政の自律性が毀損したといい、財務省解体論を提示する。

 旧大蔵省(現財務省)での勤務経験を有する経済学者小黒一正も本来政治主導の手段であったはずの内閣人事局の導入が「各省庁の幹部たちを、官邸の顔色をうかがう『イエスマン』集団にする契機」にしてしまったのではないかと指摘する。ただし政権の人事政策の必要性は認め、透明性、公正性、説明責任を担保できる仕組みの導入を提案する。

第二次安倍内閣で導入された内閣人事局(内閣府ホームページより)

 行政学者の牧原出は現政権による各省庁への強力な統制の源が内閣人事局だけではなく、選挙で大勝を続け、内閣支持率も高い水準を維持してきた「短期政権型の長期政権」という特徴を指摘する。政権が世論の支持を受け、野党も分裂状態であったため、官僚の萎縮を招いたという。牧原はこのような状況のもとで行政が国民に対する透明性を高めることで政治と対峙できる可能性を述べながら、政治の透明化のために「第三者的な独立機関による監視が重要」と説く。

 政治、行政、メディアの自明性も揺らぐ現代社会において処方箋はいかにして可能か。困難な問いだが、我々の社会の正統性の危機を超克するために避けては通れない主題でもある。