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「その程度で悩んでいる状態」こそ幸せであるということ

幸福を実感するために大切な心構えみたいなもの

2018/04/12
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団欒を続けるために

 言ってみれば、人生において急転直下や青天の霹靂というのはたくさんあって、普段は健康だぞと思っていても突然の大病が見つかったり、風呂場で倒れたり、大事な人の突然の連絡があったりと、いろんなことがあるものです。同窓会に顔を出してみると、机を並べた奴がすでに他界していたことを知って愕然とすることも起きました。あいつ、どんな人生を送っていたのかな。だからこそ、平穏に暮らしている証というものを写真として残すことの大切さもまた、必要だと思うのです。

 一方で、若いころから好き放題やり続けてきた変な人生から脱却することのできた大きな原因は、まさに結婚でありました。まさか、この私が結婚10年を迎えるとはね。子供も作って育児に奔走している人生が中盤でやってこようとは思ってもみませんでした。家族ヤバイ。用事があってお出かけしても、酒もひっかけずゲームセンターにも寄らずにまっすぐお家に帰る私自身を見て、自分でも「人間は心がけさえあれば変わることができるのだ」と実感できるわけでございます。

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 それもこれも、家の中で家内と子供を育て、暮らしていることにそれほどのストレスを感じず、まあゲームや野球鑑賞など趣味がめっきり減ったのは残念ではありますが、楽しく幸せに人生が送れているからに他なりません。介護もいろいろあるけれど、自宅で家内や子供たちと食事をしていることがこれほど安楽なものであるとは知りませんでした。こういう団欒を続けるために、自分なりに思うことがあって生活態度を改善した結果、規則正しく飯を腹いっぱい食べてどんどん太っていくわけであります。結婚前は177cm51kgというスリムな体形だった私は、うっかり気を抜くと80kgを超えるまでになりました。ええい、ダイエットだダイエット。結婚前から取り組んでいた禁煙も続き、酒の量も減り、ネットで暴れる以外は真人間になっていく感じがするわけですね。良いことなのかどうなのか。

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 帰宅してみると、なわばりの境界線にある座布団をどっちが占領していたかでわさびちゃん(猫)とさんたさん(犬)が大喧嘩しておるわけですよ。君たちにとっては大ごとなんだろうけど、もっと広い心で接することはできないのかね、わっはっは。やっぱこう、心の余裕というのはそういう幸福なところに生まれるわけなんですけど、電車の中で団塊オヤジが脚広げて座ってると胸ぐらをつかみたくなるんですよね。まだ真の意味で幸福の境地には辿り着けていないようです。

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「その程度で悩んでいる状態」こそ幸せであるということ

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