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鳥集 徹
2018/05/01

糖質オフのアルコール飲料のほうが逆に太るって本当か?

医療の常識を疑え #2――お酒の新常識

 医学や健康の常識は、どんどん変わっている。昨日まで正しいと思われていたことが、いつの間にか誤りとなっていることも少なくない。古い知識のままで、間違った習慣を続けていると、かえって健康を損なわないとも限らない。

 そこで、最新の研究成果や知見に基づき、医学と健康の新常識を98項目集めてみた。2回目は「お酒の新常識」。日頃のストレスでついつい飲み過ぎてしまう人も多いはずなので、自分の飲み方を見直す機会にしてほしい。

 居酒屋に行けば「とりあえず生ビール」というのが定番だ。昔からビール好きのポッコリ出たお腹を“ビール腹”と呼んでいるが、その太鼓腹はビールのせいではないかもしれない。管理栄養士の安中千絵氏が解説する。

 

「確かにビールには糖分が含まれています。でも、ロング缶(500ml)1本でも、小さなお茶碗半分のごはんにも満たない量に過ぎません。ビールを飲むこと自体よりも、ビールと一緒にポテトやピザなど、糖分の多いものを食べてしまうことのほうが問題です」

 ビールだけでなく、日本酒、ワイン、梅酒などにも糖分が含まれており、甘口になるほどその量は多くなる。しかし、これらのお酒の糖分も、おつまみで糖分を控えれば調節できる程度の量だと安中氏は話す。

 肥満が心配な人の中には、糖質オフのアルコール飲料(発泡酒、酎ハイ、カクテルなど)を選ぶ人も多いだろう。だが、糖質オフのアルコール飲料のほうが、かえって太る可能性もある。ハーバード大学で肥満や老化について研究した大西睦子医師が話す。

「オーストラリアでの研究によると、糖質オフビールを飲んでいる人ほど、『普通のビールより健康的だ』と信じ込んでいて、より多くの量を飲んでいました。糖質オフと言っても、アルコール自体にもカロリーがあります。アルコールは優先的に消費されるのですが、それでも大量に飲むと余ったカロリーが体内に蓄えられるので、結局は太ってしまうのです」

甘い飲み物には要注意

 糖質ゼロの酎ハイやカクテルには、カロリーのない人工甘味料が含まれているものも多い。しかしこれも、大西医師によると注意が必要だという。

「糖分のある飲み物は消化に時間がかかるので、胃での滞留時間が長くなります。しかし、糖分を分解する必要のない人工甘味料の飲料は、早く胃を通過して腸で吸収されるため、血中アルコール濃度が上がりやすく、悪酔いしやすいのです」

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 さらに、人工甘味料は太りにくく、糖尿病にもなりにくいと考えられてきたが、その常識も覆されつつある。大西医師が続ける。

「人工甘味料でも、血糖値やインスリンに作用したり、食欲を刺激するホルモンの分泌を促したりする作用があることがわかってきました。実際、人工甘味料入りのダイエット飲料を飲んでいる人でも、肥満や糖尿病のリスクが上がったことを示す研究結果がいくつかあります」

 人工甘味料入りの炭酸飲料をたくさん飲んでいる人のほうが、うつ病のリスクが高くなることを示す研究結果もある。糖質オフ飲料や人工甘味料入り飲料にもデメリットがあることは知っておいたほうがいい。

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