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なぜ日本は「情報隠蔽国家」になってしまったのか

私が新刊の中で「預言」していたこと

2018/04/10
青木氏の新著『情報隠蔽国家』(河出書房新社刊)

 情報隠蔽国家。つい先ごろ上梓した私の新刊にそんなタイトルを冠したら、まさにそれを地でいく事態が現政権の下で続々と発覚している。

 財務省は森友学園問題をめぐって公文書を改竄し、防衛省・自衛隊はイラク派遣日報を1年以上にもわたって隠蔽、防衛相にすら報告していなかった。いずれも「国家の情報」にかかわり、前者は前代未聞の犯罪的行為、後者は実力組織の文民統制(シビリアンコントロール)が問われる重大事態である。

いずれも現政権で必然的に起きた

 もとより、個々の事態を預言していたわけではない。ただ、いずれの事態も現政権の下で必然的に起きたものだと私は捉えている。つまり、事態の発生源となった役所や形態などに若干の違いこそあれ、すべての根底には現政権のありようや振る舞いが横たわっていて、そこを解き明かしていかない限り、責任の所在にも病の除去方法にもたどりつくことができない。この点にかんしていえば、私はたしかに新刊の中で「預言」していた。

©文藝春秋

 それではいったいなぜ、類似の事態が現政権下で続発するのか。また、こうした事態を放置すると社会はどのように朽ち落ちてしまうか。拙著で「預言」したことを土台としつつ、本稿では重要な2点について主に記したい。

国有地格安売却の背後には、「政権の影」は明確にちらついている

証人喚問に立つ佐川前国税庁長官 ©文藝春秋

 まずは「なぜ」である。

 森友学園問題で財務省は、国有地の格安売却の経緯に関する文書を廃棄したと強弁しつづけ、ついには公文書の改竄という国家犯罪にまで手を染めた。財務省理財局の独断だったのか、政権側から何らかの指示や示唆があったのか、真相はなお不明ではあるが、改竄前後の文書を見比べれば、未曾有の所業に及んだ理由はおのずから明らかとなる。

 改竄前の文書を見れば、当事者が意識的だったか無意識的だったかはともかく、異例の国有地格安売却の背後には、首相の妻を筆頭とする「政権の影」は明確にちらついている。これが表沙汰になれば、「私や妻が関係していたら首相も国会議員も辞める」とまで言い放った首相を直撃し、政権基盤が大きく揺らぎかねない。だから隠し、改竄した。それ以外には考えられない。