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ぼくらの近代建築散歩 in韓国[ソウル・仁川篇]――万城目学×門井慶喜 #1

辰野金吾設計の旧朝鮮銀行本店は子どもだらけの博物館になっていた

 あの名物企画が帰ってきた! 『ぼくらの近代建築デラックス!』で大阪、京都、神戸、横浜、東京の名建築をたずね歩いた万城目学さんと門井慶喜さん。今回は韓国に渡った建築探偵コンビ。日本統治下時代に日本が造り、韓国が残してきた建築遺産を人気作家の2人はどう見たのでしょうか――。(全2回/#2に続きます)

朝鮮王朝時代に完成した旧木浦日本領事館。万城目「レンガ造りではめずらしいくらい威張ってる」 ©石川啓次/文藝春秋

◆ ◆ ◆

◆ 旧済物浦倶楽部(仁川)

万城目 2010年の大阪に始まり、回を重ねてきた門井さんとの近代建築散歩シリーズ。前回の台湾編に続いて、なんとなんとの韓国編。海外第2弾です。

 今回の旅のきっかけは、僕が文化庁の東アジア文化交流使に任命されまして、韓国に短期滞在して文化交流することになったことです。でも、韓国に行って文化交流しろと言われても、演劇人や舞踊家なら現地でパフォーマンスができるけど、小説家がトークショーをやったところでせいぜい2時間じゃないですか。それなら昔の遣唐使や遣隋使みたいに、外国での見聞を日本に持ち帰って「今こういう状態です」って広く伝えるのも立派な文化交流だろうと。そんなプランが通りまして、博覧強記の門井さんを急遽ソウルに招聘いたしました。

門井 ありがとうございます。

万城目 誘ったら返事、早かったですよね(笑)。

門井 即答でした。迷いなく。こんなうれしい話に乗らないという選択肢は、はじめからありませんでした。

釜山の影島大橋。万城目「みんなの役に立っているとても健康的な日帝残滓」 ©石川啓次/文藝春秋

万城目 ありがたや(笑)。3年半前の台湾はとにかく暑かったですが、今回は打って変わって、氷点下マイナスの仁川(インチョン)からスタートです。仁川は、韓国で釜山(プサン)に次いで開港した歴史のある港町。韓国のハブ空港として知られる「仁川国際空港」がある街ですね。

門井 ソウル市内から車で1時間ほどですから、日本で言えば東京に対する横浜の感覚に近いのかもしれません。

■万城目学さんお勧め建築
1「仁川税関旧倉庫」(仁川、明治後期)
2「旧京城医学専門学校付属医院」(ソウル、1928年)
3「旧ソウル駅」(ソウル、1925年)
4「旧木浦日本領事館」(木浦、1900年)
5「旧釜山税関庁舎」(釜山、1911年)
6「影島大橋」(釜山、1934年)

■門井慶喜さんお勧め建築
1「旧済物浦倶楽部」(仁川、1901年)
2「旧朝鮮銀行本店」(ソウル、1912年)
3「旧京城裁判所」(ソウル、1928年)
4「梨花女子大学」(ソウル、1935年~)
5「明洞聖堂」(ソウル、1898年)
6「旧広津吉三郎邸」(群山、1935年)

■番外
「東大門デザインプラザ」(ソウル、2014年)

※年は完成年

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