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連載文春図書館 ベストセラー解剖

前田 久
2016/09/28

動物たちの欠点(?)が人間の共感を呼んだ

『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』 (今泉忠明 監修)

source : 週刊文春 2016年9月22日号

genre : エンタメ, 読書

〈ダチョウは脳みそが目玉より小さい〉〈イルカは眠るとおぼれる〉進化によってそんな“ざんねん”な特徴を持つに至った生物を紹介した本がヒット中だ。

「生物の本を何冊か編集するうちに、『賢い』『強い』といったプラス面だけが生物の魅力なのか? と感じるようになったのが、企画のきっかけでした。人間でも、完璧そうな人に思わぬ弱点があると急に親しみが湧くじゃないですか(笑)」(担当編集者の金井弓子さん)

 もともとの想定ターゲットは小学校中学年。しかし、書店が話題書コーナーにも置いてみたところ、大人にもうけ、思わぬブレイク。

「最初は『かわいくて、ちょっとヘン』みたいなところが、サブカル女子にウケたようです。今は4歳から97歳まで、幅広く支持されています。子供は単純に面白がって、大人は知識欲を満たすと同時に共感している。たとえば『ゴリラは知能が高く、ストレスを感じやすい。そのせいで下痢になる』なんてネタは、大人の反響が大きいです。50代の男性から『健気にがんばる生き物に自分の姿を重ねました』という感想が届いたりもしました。生き物たちの姿を通して人間社会を見ているところが、売れる生き物の本には共通しているように感じています。生き物たちの世界はすごく不条理で、残酷なところもあるけど、みんな懸命に生きている。その姿は、頑張る大人たちの心に迫るものがあるのでは」(金井さん)

2016年5月発売。初版1万1000部。現在10刷15万9000部