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「100かいだてのいえ」シリーズがお父さんにも人気の理由とは

『そらの100かいだてのいえ』(いわいとしお 著)――ベストセラー解剖

2018/04/18
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『そらの100かいだてのいえ』(いわいとしお 著)

 ある寒い冬の日。お腹をすかせたシジュウカラのツピくんは、見つけたひまわりの種を植えて増やそうとする。しかしあたりは一面の雪景色。困ったツピくんは雪たちにアドバイスされ、はるか上空に広がる雲の中を昇るのだが。

「上へ上へと進むツピくんの姿と、下から上へと読み進める読者の目線がシンクロする。そこが人気の理由のひとつかもしれません」(担当編集者の秋重羊さん)

 本を90度回転させてページを手前にめくり、見開きを縦に読む構成の絵本。シリーズ共通の独特な工夫が愛され、既刊3冊は単巻で100万部に届くものもある大ヒットに。4作目の今作も順調に売れ、シリーズ累計の売り上げは現在、280万部を超えている。

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「読者の年齢層は5歳、6歳がメインです。ただ、シリーズの1作目が出たのが10年前ということもあって、今では初期から読み続けてくださっている10代のファンもいます。お父さんのファンが多い印象もありますね。著者は『ウゴウゴルーガ』など、数々の魅力的な仕事で知られるメディアアーティストとしての一面もあります。それらの活動を通じて著者のファンだった方が、お子さんと一緒になってこの絵本にもハマっている。本書は絵の密度が高く、絵の中にいくつも遊びが仕込まれているんです。それを探すことでお父さんとお子さんとの会話が生まれるところも人気の理由のようです」(秋重さん)

2017年8月発売。初版15万部。現在2刷20万部

そらの100かいだてのいえ

いわいとしお(著)

偕成社
2017年8月8日 発売

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