※前回「ついに「口噛み酒」を日本に持ち帰った!」より続く
ついに口噛み酒(かもしれないもの)を飲む。
どろどろとした液体が口の中に流れ込む。アマゾン先住民女性の唾液とイモと私の努力の混じり合った逸品だ。味は……ヨーグルト・ドリンクにちょっとアルコールが混ざった感じ。臭みは不思議なほどない。薄いマッコリのようでもある。アルコール度数は一パーセントあるかどうか。
関野さんは満面の笑みを浮かべ、「懐かしい。匂いも味もまさにこれ」。
おお、奇跡だ! アマゾンで口噛みした酒の素が太平洋を越えて運ばれながら、アマゾンの村と同じ酒になっていたのである。
明大の清水教授も「ヨーグルト・ドリンクみたい」とホッとした様子。文藝春秋社の二名の女性編集者のうち、Iさんは「イメージより飲みやすいし、美味しい」と明るく答え、Sさんは「小学生のとき吸っていたグレープフルーツ味の禁煙パイポの味そっくり」と謎な回答。でも美味しいということらしい。
しかし、こんな弱い酒でアマゾンの人たちは酔えるのだろうか? 関野さんはこう説明する。「カヌーいっぱいに酒を作るんだよ。それをひたすら飲む。食べ物はない。一晩徹夜は当たり前で、二日目もある。なくなるまで飲む」。
要するに量を飲むわけだ。酒を飲むのは男性だけだが、女性はザルで濾した残り滓を食べるから、同様に酔うらしい。男性は太鼓を叩いて踊り、女性は円陣を組むようにして踊るという。