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キャッシュフローの仕組みづくりや相続対策に有効な不動産・土地活用

オーナーは「事業」として取り組む心構えを

相続対策や老後の資産づくりなどを目的に、不動産・土地活用を検討する人が増えている。不動産活用コンサルタントの楯岡悟朗氏にアドバイスしていただきながら、賢い不動産・土地活用について考える。


社会的ニーズに応える

 不動産・土地活用の目的は、オーナーによってさまざまだが、代表的なものに「相続対策」がある。特に2015年1月の改正相続税法の施行により相続税の基礎控除が縮小されたことで、相続税の課税対象者が増えたことは記憶に新しい。更地のままの土地があれば、そこに賃貸住宅などを建てることで、土地の相続税評価額を圧縮することができる。

楯岡 悟朗氏(たておか・ごろう)きねや不動産取締役、不動産活用コンサルタント。豊富な取引経験・知識を駆使しながら、オーナーの利益を最優先する不動産コンサルタントとして活躍。情報サイト『不動産活用コム』を運営。
楯岡 悟朗氏(たておか・ごろう)きねや不動産取締役、不動産活用コンサルタント。豊富な取引経験・知識を駆使しながら、オーナーの利益を最優先する不動産コンサルタントとして活躍。情報サイト『不動産活用コム』を運営。

 また老後の定期収入や、将来のための資産形成手段として、不動産活用による賃貸住宅経営を検討する人もいるだろう。

「もし何かしら不動産を保有しているにもかかわらず、それを有効活用していないのであれば、ぜひ活用を検討したいところです」――。そう語るのは東京・世田谷区で不動産業を営む傍ら不動産活用コンサルタントとして活躍する楯岡悟朗氏だ。

 人口減少社会の中では、賃貸住宅そのものへのニーズが減少していく可能性もある。その点を不安視し、なかなか踏み切れない土地オーナーもいるかもしれない。

「例えば、いま待機児童が社会問題になっており、保育園を必要とする地域は少なくありません。保育園をつくることで、社会の課題に応えながら節税や安定的な収益を期待できる不動産活用が実現するかもしれません」と楯岡氏。保育園以外にも高齢者施設や病院など、社会的ニーズの高い施設は数多くある。「自宅1階にテナントとしてフレンチレストランを誘致した方がいました。そこが繁盛店になり、地域に賑わいが生まれました。これも不動産オーナーならではの楽しみのひとつといえるでしょう」

 
 

建ててからがスタート

 とはいえ楯岡氏は「不動産活用で成功するためには、片手間ではなく、事業として向き合うことが大切です」と強調する。物件を新築するには金融機関からの借り入れを利用する場合もあるだろう。超低金利のいまは、借り入れを利用するには追い風だが、資金計画に無理があれば、いくら社会的ニーズが高く魅力的な物件であっても、賃貸経営は立ち行かなくなる。

 反対に資金計画に問題がなくても物件に魅力がなかったり、立地に見合っていなければ入居者やテナントは集まらない。物件の管理やメンテナンスも欠かせない。そう考えると不動産活用は、賃貸物件を建てて終わりなのではなく、そこからがスタートといえそうだ。

 いずれ相続することになれば、遺産分割が発生する。さらにローンの返済がいつまで続くかなど、将来を総合的に考えて計画することが肝心だ。

信頼できる業者を選ぶ

 事業として不動産活用に取り組むには、信頼できる業者との付き合いが欠かせない。「耐震性に優れている」「狭小地でも多層階の物件が可能」など、不動産業者やハウスメーカーによって強みは異なる。立地や周辺環境のニーズに合致した、付加価値の高い物件を提案してくれる業者を選びたい。

 資産が現金に偏っている人には、不動産の小口化商品という選択肢もある。これは複数の投資家が資金を出し合い、対象となる物件の共有持ち分を購入し、賃貸収入を受け取る仕組み。

 小口でありながら実物不動産を保有する場合と同様の税制メリットを受けられる点が大きなメリットだ。そのため賃料収入以外に、相続対策として活用できる。所有する土地を活用しないのであれば売却し、こうした不動産小口化商品に組み替える、という選択肢もあるだろう。

「業者に任せっきりにするのではなく、不動産に関する最低限の知識は勉強しておきましょう」と楯岡氏。本特集を参考にしながら、ぜひ不動産・土地活用について検討してほしい。