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さよなら「ロッキーおじさん」——市民ランナーを応援しつづけた謎の男

2018/04/21
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おじさんはどうして応援をやめてしまうの?

――応援の間はトイレや食事ってどうしてるんですか?

ロッキー 倒れないように水分だけは摂ってるけど、食事はもちろん食べない。トイレにも行けないよね。だから、1週間前からコーヒー断ちをします。

――なんか、想像以上に大変ですね。引退の理由はそこですか?

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ロッキー パーキンソン病を発症して、足が利かなくなって、運転もできなくなっちゃったんだよね。僕が応援に立つところって、駅から離れてるところが多いから、電車だと結構きつくて。行きはタクシーで行けても、帰りは拾えなくて、スピーカー背負って5kmぐらい歩いたりしたこともあるし。あれだけランナーがいるから、喜んでくれる人も何千人もいるから、その人のために行かなきゃって思ってたんだけど、まあ難しいなって。

©文藝春秋

――今回の引退について、ご家族の反応は?

ロッキー 奥さんは僕より病気で、2級障害者なんだよね。調子が悪い日は家事もできないし。だから、朝起きて奥さんが「大丈夫」って言うのを聞いてからじゃないと、出かけられないから……。ただ、つくばマラソンの前夜祭には来てくれたんだよ。

――引退の挨拶をされたんですよね。

ロッキー そう。一度つくばマラソンがあるのを忘れてて、応援に行かなかったことがあったんだけど、そうしたらネットで「孤独死したのか?」とか書かれたことがあった。だからまた勘違いされるのもいやなので、いないって宣言しておかないといけないなって思って、つくばの事務局にお願いしたんだよ。

 翌日、応援してたら、みんなが手を振ってくれたり、「ありがとう」って言ってくれたり、握手しに来てくれたり。もうこれ以上のことはないかな、これが僕の集大成だ、“通じた”んだって思ったね。あ、これちょっと書いといてくれる? “通じた”って。

――あ、はい。

いい人では終わりたくない

ロッキー 青梅マラソンのときは、足の調子が悪くて、スピーカーを持っていけなかったから、看板に「サイレントロッキー」って書きました。東京マラソンは「ラストロッキー」でしょ、この間の板橋ハーフでは「ファイナルロッキー」だったから、次のかすみがうらマラソンはどうしようかな……。(4月15日に行われ「引退だが/嵐なので/ロッキー」という看板を持った)

――そこで、すべてのレースから引退ですか?

ロッキー でもさ、そうすると格好良すぎるじゃない。格好悪く死んでいかなきゃいけないでしょ。このままいい人で終わっちゃうのは悔しいからさ。

――じゃあ、もしかしたら、どこかの大会で会えるかもしれない。

ロッキー そう。別に応援が好きなわけじゃないから、行きたくないんだけどね。ただ、応援してるとランナーからパワーもらえるのよ。パワースポットだよね。ただ、一応引退だからね。僕の後継者も募集してます。跡を継いでくれる人には、スピーカーもプレゼントしますので、希望される方は、僕を見かけたら声をかけてください。ただし、千葉や静岡にもロッキーおじさんがいるのですが、別人ですのでお気をつけください。

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