文春オンライン

パクリ放題のウェブ記事に中国ライターが戦いを挑んで起きたカオスな事件

「漫画村」問題は氷山の一角にすぎない

2018/04/16
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これ、どうしようか?

 著作権侵害を侵害者に申し立てる行為というのは、当方が正当な権利を行使しているだけにもかかわらず、なにやら自分が『火垂るの墓』で野菜を盗んだ清太を虐待する農家のおっさんになったような気がして、実に寝覚めの悪い思いをするものである。

 内容証明を送るのは意外と面倒くさい(しかも送ったところでX氏のように踏み倒すことが可能だ)。あとは少額訴訟に踏み切る手しかなく、また少額訴訟は最大60万円まで請求を主張することも可能なのだが、それで60万円ぴったり下りてくるとは限らないし、手続きも内容証明を送る以上に面倒くさいことが目に見えている。

 趣味としての裁判体験や原稿のネタにする以外の目的では、いち個人が個々のコピペ案件をプチプチ潰していく行為は割に合わないと考えるしかない。X氏やY氏のように名前や住所を明かすこともなく、今日もネットから文章を拾って著作権侵害に精を出しているコピペブログの運営者やテキスト動画の投稿者となれば、ネットの海に無数に存在するのにほとんど野放しだ。

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 だがいっぽうで考える。私は1記事あたり、匿名のパクリ主を含めると少なくとも3~15件くらいはネットのどこかで記事をパクられている。彼らを全員特定して、一人あたり10万円くらいの原稿料を請求したならば、塵も積もって山となるのではないか。

 ライターの業界においては、一般的にウェブの原稿料は相対的に安いと言われがちだ。しかし、これはもしかして原稿料だけでお金を稼ぐものではなく、記事をパクる皆さんに片っ端から正当な対価を要求することでこそペイできるシステムのものなのではあるまいか?

 最近の若手の弁護士さんには、仕事がなくて困っている方もいると聞く。今回の記事を読んだ若き法曹関係者のあなた、ご興味があれば私のようなウェブ寄稿の多いライターに、ぜひとも営業を掛けてみることをお勧めする。意外な金脈が見つかるかもしれませんぜ。

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