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SNSは性犯罪をどう変えたのか――10代の少女たちも毒牙に

親ならば知っておきたい犯罪者たちの卑劣な手口

2018/04/17
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警察が規制強化しても、いたちごっこ

 若者にとってネットの世界は仮想現実ではなく、日常生活とつながる「拡張現実」だ。それゆえにまず内面の合う者同士がマッチングされ、外的要因は二の次だ。こうして不可解なカップルが誕生し、世にも奇妙な事件を起こすことが多い。

 警察は新たなツールが登場するたびに規制を強化しているが、いたちごっこの感は拭えない。携帯会社も有害サイトへのアクセスを制限するフィルタリング・ソフトなどを開発しているが、それでもこぼれ落ちるSNSは無数に存在する。

©iStock.com

 その最たるものがユーチューブだ。小学生が将来なりたい職業にユーチューバーがランクインするなど、もはやユーチューブを見たことがない小学生は皆無だろう。

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 だが、ユーチューブには動画を見るほかにコメント機能がある。小学生は何が危険かなど分かっていないので、平気で自分の名前を書き込んだりする。いったんネットに書き込まれた情報は、必然的にネット全体に表示されることになる。そこにはどんな人種が潜んでいるかなど考えもしない。悪意ある犯罪者たちは、そこから本人のブログなどを特定したりするのだ。

最初からホテルへ行くことが前提になっていた

 2017年秋、東京都内でこんな事件があった。ピコ太郎の影響を受け、「自分もネットアーティストとして、ひと花咲かせたい」と考えていた自称ミュージシャンの男(29)は、自分の動画にコメントしてきた中1少女(当時12)と知り合い、LINEのIDを交換してやり取りを始めた。

 ネットで知り合った関係は、親しくなればなるほど実際に会いたいと思うようになるものだ。こうして2人は会うことになったが、最初からホテルへ行くことが前提になっていた。なぜなら、ネットのやり取りの中で、将来の結婚まで約束していたからだ。

 それが少女の母親にバレてしまい、あっけなく終わりを迎え、男は強制性交容疑で逮捕された。少女の母親は「娘にねだられ、スマホを与えたのが悔やまれてならない」と述懐したが、そういう問題だろうか。

 根本的な問題はネットではない。世の中には女に甘えることにおいて、天才的な男がいるということだ。

本人たちが無自覚でも、SNSでは悪意ある犯罪者ともつながってしまう ©iStock.com

「オレのために援助交際してくれないか?」

 例えば、生活保護を受けていた岐阜県在住の無職の男(42)は、親に対する不満をブログに書いていた女子高生(当時16)に接近し、自分のために金を稼ぐ売春婦に仕立て上げていた。

 彼女をお姫様のように扱う一方で、常に「金がない」と繰り返し、「オレのために援助交際してくれないか?」と持ち掛けた。