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「思い」を込めたお金が社会を前に進める

遺贈・寄付特集

PRsource : 週刊文春 2018年5月3・10日号

今、人生最期のお金の使い方として、自分が亡くなった後に公益性の高い団体などへ財産の一部を贈る「遺贈寄付」が注目を集めている。その状況や意義について、遺贈寄付や終活に詳しい星野哲さんに聞いた。


力になりたいという願いは周囲を巻き込んで広がっていく

──「遺贈寄付」はどのような行為なのかを教えてください。

星野 個人が亡くなった時、遺言によって社会に役立つ活動をしている団体に財産を贈ることを「遺贈寄付」と定義しています。対象となるのは、公益法人や認定NPO法人、学校法人や自治体といった団体です。遺言書による遺贈に加えて、相続人による寄付や、信託を使う方法を含めて遺贈寄付の一環と捉えています。

──耳慣れない言葉ですが、遺贈寄付は普及しているのでしょうか。

星野 公表はしていないけれど、実は遺言書を書いて遺贈寄付の準備を進めている……こんな方は結構いらっしゃいます。寄付文化は欧米が盛んと言われますが、日本にも古くから他者のためにお金を贈る文化は根付いています。神社への奉納や寺院へのお布施、喜捨は代表例と言っていいでしょう。東日本大震災以降は、寄付をする人は増加傾向にあり、『寄付白書2017』によれば、2016年の個人寄付推計総額は7756億円と震災前の09年と比べて40%近く伸びています。こうした寄付文化の一つとして、遺贈寄付も広まっているのです。

──少額でも可能でしょうか。

星野 もちろんです。貧者の一燈という言葉があるように、大切なのは金額の多寡ではなく、そこにどのような思いが込められているかです。100万円でも1万円でも、遺贈寄付の価値に違いはありません。人生最期の思いを込めて託されたお金は、受け取った団体にとっても特別なもの。周囲を動かし、社会を前向きに変える力があります。

 私が取材した中で印象的だったのは、夫の遺贈寄付をきっかけに、アジアの若者支援団体に関心を持つようになった女性です。お金に対する考え方が広がって自分自身も障害者支援などに寄付するようになったそうです。遺贈寄付は活動団体を直接支えるだけでなく、普段は語れない生き様や価値観を家族に伝えるきっかけにもなります。

遺言書が無効になる場合も

すべて自筆で書く「自筆証書遺言」と、公証役場で公証人が作成する「公正証書遺言」の2種類が一般的。自筆遺言は形式などを守り、適切に管理しなければ無効となる。実際に適切に書かれていないケースも多いので、専門家へ相談するなど注意を払っておきたい。また、遺言書の内容を正しく実行する遺言執行者を決めておくことも重要だ。