文春オンライン

福田次官vs.産経新聞 スクープ、否定、更迭までの「攻防」を熟読する

異例の展開と、産経「怒りの正論」

2018/04/20
note

バッサバッサと斬り捨て御免の音がする

 さらに社会面では識者のコメントをずらっと並べた。

・「当事者の女性記者に『名乗り出ろ』というのは、やっていることが異常」(作家・佐藤優氏)

・「取材源の秘匿というジャーナリズムの鉄則への理解が全くない」「嘘を突き通してきた組織が、よくそんなことを言えるなと思う。相手の女性記者が誰かは事務次官に聞けばいい話だ」(立教大の服部孝章名誉教授・メディア法)

ADVERTISEMENT

・「『自分は大物』という傲慢さが根底にある」(セクハラ問題に詳しい大阪大大学院の牟田和恵教授)

 産経紙面から、バッサバッサと斬り捨て御免の音がする。

トドメのモリシゲ「産経抄」

 そしてトドメは1面の名物コラム「産経抄」だ。

 なんと黒柳徹子と森繁久弥のあのエピソードを持ってきた。

《平成21年に96歳で亡くなった森繁久弥さんと黒柳徹子さんは、50年を超える付き合いだった。黒柳さんは、「近所のエッチなおじちゃんのようだった」森繁さんから、ずっと同じ言葉で口説かれ続けた。
「1回どう?」。恋人にはならなかったけれど、もう一度言ってほしかった。黒柳さんは小紙への追悼の談話をこう結んでいた。
週刊新潮は疑惑のセクハラ発言の音声をニュースサイトで公開している。こちらは二度と耳にしたくないほどの、おぞましさである。》

 つまり産経抄は、森繁さんのようなさらっとした大人の口説きに比べて「お前の言葉は何なんだ。信頼関係も何もないうえに、ただの欲望丸出しじゃないか、この野暮天が!」と福田次官を叱っているのである。たぶん。

「スクープ」をひっくり返された産経の逆襲と当てこすりと正論こそ、間違いなく今週の新聞の読みどころだったのである。

福田次官vs.産経新聞 スクープ、否定、更迭までの「攻防」を熟読する

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー