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“現代の名優”寺尾聰が父を超えるまで V6井ノ原主演の「特捜9」でも好演

現在も精力的にライブ活動を展開

 名優・宇野重吉没後30年。その面影を追うかのように、長男・寺尾聰(70)の演技が父親に近づいてきているという。放送記者が話す。

「昨年の『陸王』(TBS系)でも渋い演技は好評でしたが、今春は『警視庁捜査一課9係』(テレ朝系)の後継シリーズ『特捜9』に初出演。V6の井ノ原快彦(41)が故・渡瀬恒彦から主演を引き継いだ人気シリーズですが、寺尾は新任の班長役として登場。初回視聴率16%と好調な滑り出しです」

 すでに50年を超えた寺尾の芸能人生には、常に父親の存在が見え隠れしていた。

「60年代、ザ・サベージのベーシストとして活躍しましたが、わずか2年で脱退。役者を目指し、父親が主宰する『劇団民芸』入りを志望したが、宇野は『親の七光りと見られるだけだ』と拒否。宇野が石原裕次郎を紹介して石原プロ入りし、『黒部の太陽』(68年)で役者デビューを果たした」(映画関係者)

 その後『西部警察』など石原プロ制作のドラマに出演。渋いルックスにサングラスの“二枚目半役者”として徐々に存在感を発揮していった。歌手としても81年、「ルビーの指環」で日本レコード大賞を受賞。

 その後の独立騒動でも父親が一役買ったという。

「アクション路線を続ける石原プロと、文芸作品への転向を模索する寺尾が対立。仲介に入った裕次郎と宇野が話し合い、円満に独立できた。『乱』(85年)、『夢』(90年)で、黒澤明監督に認められるまでに成長。01年には『雨あがる』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞し、レコ大と日本アカデミー賞の両方を獲得するという快挙を達成した」(同前)

 宇野は88年に死去。その16年後、裕次郎を描いたドラマ『弟』(04年)では宇野役を寺尾が演じた。

「04年の『半落ち』の頃には『演技も雰囲気も宇野に似てきた』と業界内もざわつきました。今では、お茶目な普段の顔まで父親に似ているといわれています。私生活では女優と離婚後、モデルと再婚し、子ももうけた。穏やかな父親のイメージを買われCMにも起用。その実績はとうに“宇野重吉の息子”の域を超えている。現代の名優です」(芸能デスク)

 まさに二世の鑑。