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“野手より遅い”牧田和久は、なぜメジャーで活躍できるのか

 大谷翔平の大活躍の陰で、秘かにMLBで株を上げている日本人がいる。昨オフ、西武ライオンズからポスティングシステムでパドレスに移籍した牧田和久投手(33)だ。

「あれには、痺れたよ」

 パドレスのグリーン監督が感嘆したのは、4月11日のロッキーズ戦での牧田の投球。7回無死一、3塁のピンチで、監督は「3塁にいる奴は得点させても構わない。それ以外は全員アウトにしよう」と牧田を送り出したという。

 結果、1点も与えることなく3人の打者を完璧に抑え、「彼は僕の言うことを聞かなかったんだ」と監督に言わしめたのである。14日現在、6試合を投げて、防御率1.69は、中継ぎとして合格点の数字だ。

日本では通算53勝・25S・54Hを記録 ©共同通信社

 MLB公式ホームページは、アンダースローから繰り出される牧田の球筋を〈飢えたゾンビが地面からはい上がってくるよう〉と表現。スポーツ専門局ESPNのサイトでは、平均球速130キロの牧田の球は“野手より遅い”としながらも、人気救援投手ランキングの6位に選出した。

 なぜ“野手より遅い”牧田は活躍できるのか。

「メジャーにはアンダースローが少ないから、と思われるかもしれませんが、あれを変則的というなら、メジャーの投手はほとんどが変則的。それだけでは活躍できない」(メジャー球団スカウト)

 ベテラン野球記者は、同じくアンダースローでメジャーに挑んだものの成功できなかった元ロッテの渡辺俊介投手との比較でこう語る。

「俊介は球離れが遅いゆったりしたフォームで、テークバックの小さいメジャーの打者からすると、むしろ見やすくてタイミングを合わせやすかった。一方の牧田の投げ方はテンポが早く、打者が差し込まれ気味になり、タイミングが合わせにくい。それと、シンカー系の低目のボールで勝負した俊介に対し、牧田は高目に投げるストレートを勝負球にしているので球が浮き上がってくるように見える」

 昨年、一昨年と日本でスピードアップ賞を受賞している投球間隔の短さも功を奏しているという。

「この時期の活躍は想定内。打者が慣れて、本人も疲れが出てくる夏場以降が正念場です」(前出・スカウト)

“サムライ・サブマリン”の快進撃に期待したい。

【ハイライト】4月17日 牧田和久 全イニング パドレス v ドジャース