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連載近田春夫の考えるヒット

近田 春夫
2018/04/26

中居くんの指摘もうなずける「新しい地図」の妙に堅気な感じ――近田春夫の考えるヒット

『雨あがりのステップ』(新しい地図)/『a kind of love』(超特急)

絵=安斎肇

 聞くところによれば……。

 中居正広が、自身のパーソナリティを務めるラジオ番組で『雨あがりのステップ』をかけながら、無論本人は洒落のつもりなのだろうが、

「あの、なんつうんだろう……かすれ声とか、もうちょっと雑な声が入っていないと……これは売れないですね」

 と、結果的には“なかなか含蓄あるのでは”的内容となる発言をしたようである。

 芸能界の、お家騒動やらなんちゃらといった政局的な話題には、ハッキリいって全く興味も関心もないこの私なのだが、音としてSMAPとはなんだったのであるか? それは考えるときぐらいありますヨ。

『がんばりましょう』時代は(記憶に間違いがなければ)、たしか6人編成だった。そういえば、その頃と5人になってからとではあの――ユニゾンともハモりともつかぬ――SMAP独特な部分の味わいやニュアンスなどにも微妙な違いは出てきているようにも思われる。

雨あがりのステップ/新しい地図(ワーナー)配信限定曲。パラスポーツ応援チャリティとして、6月30日までの売上を全額寄付するとのこと。

 てな訳で、中居くんのコトバにも、あぁ、なるほど! とうなずかされるものがあったというようなことなのではありますが……。

 ついでにもうひとつ。中居くんの問いかけに斟酌したくなるのは、俗にいう“歌の上手さ”ってそんなに大きな問題なのかね? 俺はそういう意味では下手かもしんないけど、歌の魅力ってーのはまた別の話なんじゃねーのかなぁ、という哲学の存在である。自負といったほうがよろしいか。

 いずれにせよ、前に中居くんの『君が代』に批判的な意見が多く寄せられた時も、私なぞは、そのネイキッドな歌いっぷりに、むしろ清潔感さえ覚えたぐらいで、よくあるロック系の人たちの巻き舌英語もどきも達者な作り声で、♪ 君が代ォ! とでもシャウトされた日にゃあーた、恥ずかしくって目も当てらんないっしょって思ったものである。そんな敵国風(笑)、世が世なら不敬罪にも問われかねまい! とかなんとか、マクラはこの辺でおしまいにして、さて、新しい地図である。

 述べてきた文脈において、実は俺の感想は中居正広のそれに限りなく近いものかもしれぬ。

 たしかに三人とも、破綻のない、いい換えるならば、どこまでもネガティヴチェックに耐えうる力量のアピールならばパーフェクト、お見事な歌唱を披露してくれているのだけれど、そこから先の、いってみれば人間臭い部分をあまり想像させてくれぬのだ。この曲、三人のキャラクターといったものがイマイチ見えづらい仕上りにも思えたのである。

 ここからこの先この三人、この路線でずーっといくのかどうか、俺ぁそんなこた知らないが、何かこの曲を聴いていると、妙に堅気なんだよねアティチュードが。中居くんさぁ、そこんとこがきっとつまんなかったんじゃねーの?

a kind of love/超特急(スターダストレコーズ)“1号車”コーイチが4月8日に脱退。6人体制となって初のシングル。

 超特急。

 佳曲だが、あと一つ他を蹴散らす“パワー”が欲しい。

今週の勧進帳「手塚眞監督が、30年前、オレの原作で『星くず兄弟の伝説』ってぇ、ロックミュージカル映画を作っていたんだけど、いまそのデジタル・リマスター版のDVDをだすために、クラウドファンディングで資金集めしているんだって。詳しくはA-portサイトを検索してみて」と近田春夫氏。「オレも久しぶりに見てみたいんで、ぜひ!」

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