昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2018/05/01

「菊池は完全に気を遣ってくれないんですよ、僕に」

──菊池選手はよく電話でも励ましてくれたそうですね。

赤松 がんとわかってから、気を遣われるのが一番イヤでした。でも、菊池は完全に気を遣ってくれないんですよ、僕に。そういうさりげなさもすごく嬉しかったですね。

 たとえば、副作用でだるくて寝ている時に、LINEのビデオ通話でロッカーにいるみんなを映しながら「イェーイ! 生きてる?」と言って電話してくるんです。言いますか、それ(笑)。しかも、試合前の休憩時間ですよ。しんどい顔見せられないから、こっちも思わず起き上がって「集中しろ」とか話していると、電話が終わったあと、少し元気になっているんです。新井(貴浩)さんやエルドレッドの顔も映って見えたりして。たぶん菊池の電話がなかったら、ずっと誰とも話さず寝てばかりだったと思いますが、天気のいい日は「ちょっと外に出てみようか」と思えるようにもなりました。

菊池涼介選手 ©杉山秀樹/文藝春秋

――チーム全体の雰囲気の良さに、後押しされたんでしょうか。

赤松 そうですね。試合前に電話してきて、それで優勝していますからね(笑)。いい意味で、肩の力を抜いてプレーしているのが好成績につながっていると思います。

 あくまでも僕の考えですが、若い選手がレギュラーにいるチームは強いと思うんですよ。そして若手のパワーに引っ張られるような形で、ベテランががっちりとサポートする。カープでいえば、若手の田中(広輔)、菊池、丸(佳浩)がものすごく頑張っている中で、石原(慶幸)さんや新井さんのようなベテラン選手がアドバイスをしていくと、どんどん強いチームになっていく。

 

──「頑張りすぎず、自然体で」というのは、ご自身ががん治療と野球を両立するうえでも意識していますか。

赤松 野球では「何が何でも頑張らなきゃ」と思うと、今以上の力を出そうとして硬くなったり、変な動きをしたりしてパフォーマンスが落ちることが多いんです。自然体でいることが一番いい結果を出せたりするので、がん治療との両立でも、頑張りすぎないように心がけています。

 健康な人でも結果を出すのが難しい世界なのに、僕は手術して抗がん剤治療をしている時点で、ほかの人の何倍ものハンデを負っているわけじゃないですか。「この状態で結果も出すことは難しいよな」と頭を切り替えて、まずは僕が楽しく野球を続けている姿をたくさんの人に見てもらおうと思っています。本当は結果も出さなきゃいけないんですけどね。

この記事の画像