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真の改革者は「構造改革」を待たない

楠木建の「好き」と「嫌い」 好き:運用が先、制度は後 嫌い:制度が先、運用は後

2018/05/01

 あくまでも個人的な好き嫌いの話として聞いていただきたい。

 2012年末の発足以来すでに5年以上が経過し、安倍政権もいよいよ曲がり角を迎えた感がある。いろいろと問題はあるにせよ、安倍内閣がひとつの大きな成果を挙げたことは間違いない。それはとにもかくにも「長く続いている」ということだ。それまでの政権と比較して、これだけでも大きな達成だと思う。

安倍晋三氏 ©文藝春秋

 小泉政権の後数年間は、(第一次安倍内閣を含めて)毎年のように首相が代わった。これではまともな国とはいえない。9月以降も安倍内閣が続くかどうかは不透明だが、もし首相が交代するのであれば、誰がなるにせよ、少なくとも5年は続く本格政権となることを願う。

小泉純一郎氏 ©文藝春秋

永遠の「構造改革」

 安倍政権の出発点にあったテーマは構造改革だった。振り返れば、その前の民主党政権も「政権交代による構造改革!」のかけ声で始まった。これに限らず、その前の首相も、その前の首相も、さらにその前も、第一声は「構造改革!」(しばしばこの前に「抜本的な」という形容詞がつく)だったことには変わりはない。

 僕が生まれたのは、ちょうど池田勇人内閣から佐藤栄作内閣に移行するときだったが、佐藤内閣もいちばん最初に打ち出したのは「抜本的な構造改革」だった(いや、ホントは確認していないのだが、ほぼ間違いなくそうだったと思う)。ようするに、挑戦課題は常に「構造改革!」なのである。全員が全員構造改革を旗印にして何十年もやってきた。にもかかわらず、いまだに構造改革が完遂したという話は聞かない。