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セクハラよりも「性賄賂」? 中国は「セクハラが少ない」のか「日本よりヤバい」のか

300人分の陰毛コレクターだった共産党地方幹部も

2018/04/27

陰毛の主の正体は……

 この陰毛の主たちの正体は、出世を目的に李森林と寝た女性の中級幹部たちや、男性幹部たちが「性賄賂」として上納した彼らの妻や娘であったとされる。中国において、官界での出世はすなわち一族全体が特権層に近づくことを意味するため、夫や父親の説得に渋々従った女性が相当数いたようなのだ。なお、李は毒牙にかけた女性に剃毛プレイをほどこす性癖があり、ゆえに膨大なコレクションが収集された模様である。

 李は1980年代から河南省の党組織で働き続けてきた地元党組織のドンであり、役職は市の人事権を握る党組織部長。下っ端幹部たちは李の求めに応じたり、自発的に売り込んだりで、大量の女性たちを供給し続けていたのだった。

妻や娘の肉体を「性賄賂」として提供

 似た事例は多い。2009年8月に失脚した江蘇省徐州市の党常務委員で、やはり人事担当の党組織部長であった陳正方も1000元近くの収賄をおこなっていたほか、やはり自分より下級の女性幹部や、男性幹部の妻や娘の肉体を「性賄賂」として提供させていた。一部の報道によればSMなどの倒錯的なプレイにも手を染めていたという(やはりこの手の無茶をやる人間は変態ばかりなのだ)。

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 さらに2001年に失脚した湖北省の張二江、2004年に失脚した安徽省の趙増軍といった人たちも、性賄賂を受け取ったり、逆に自分の愛人を公務員に仕立てて要職に就けたりしていたとされる。

 日本に事実上の亡命中の中国人漫画家・ラージャオ(王立銘)氏の著作『嘘つき中国共産党』には、文革後の1970年代に下放先の新疆から都市部に戻るにあたって、希望者が党幹部に妻を差し出すシステムが存在したという描写がある。少なくとも一昔前までの中国の官界において、性賄賂がかなり広く存在したことをうかがわせるエピソードだ。

教師による児童への性的虐待を産む土壌

 また、中国で多いのが教師による児童への性的虐待である。中国では日本よりも教師の地位が高く、また学校現場はもともと閉鎖的だ。いざトラブルが発生したときの被害者は簡単には逃げられない。

 加えて中国特有の事情は、田舎では両親が都市部に出稼ぎに行くなどして、祖父母らに養育されている「留守児童」が多いことである。留守児童は家庭から子どもへの目配りが薄くなりがちなので、教師側に変質者が混じりこんでいた場合には真っ先に犯罪の被害を被ることになる(ほかに近隣住民や親族等による性的虐待も多い)。

中国の「留守児童」たち ©共同通信社

 たとえば今年1月には、広西チワン族自治区の平南県で、寄宿舎に暮らしていた6〜13歳くらいの留守児童の女児10人が、寄宿舎の先生に性的虐待を受けていたことがわかった。また、4月には江蘇省の響水県で小学校教師による留守児童女児2人への性的虐待が判明、同月には湖南省衡東県で小学校校長が20人近い女子児童に性的虐待をおこなっていたとする情報もネットに流れた(未確定)。

 実際のところ、留守児童が性的暴行を受ける事件は中国で極めて多く、ネットで検索すると事件そのものの報道のみならず、「なぜ中国では留守児童の性的被害が多いのか」といった質問系の記事や、地方政府による対策などが大量に引っかかる。完全に日常的な問題なのだ。背景には中国の教育現場の閉鎖性や貧富の大きな格差、出稼ぎ農民や留守児童の地位の低さがある。

 本記事の冒頭で、中国の都市部のホワイトカラーの職場で働く女性は日本よりもセクハラに遭いにくいと書いた。ただしいっぽうで、田舎でブルーカラー(出稼ぎ農民)の家庭に生まれた未成年者が、セクハラどころではない性的暴行の危険に日々直面しているのも、やはり事実なのだ。