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森岡 英樹
2016/11/11

スリーダイヤ源流
日本郵船も苦境で三菱は「船が鬼門」

source : 週刊文春 2016年11月17日号

genre : ビジネス, 企業, 経済

統合に踏み切った日本郵船の内藤忠顕社長
Photo:Kyodo

 10月31日に発表された日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社によるコンテナ船事業の統合は、経済界に衝撃を与えた。

「三菱、三井という財閥の枠を超えて提携せざるを得ないほど海運会社の業績が悪い」(金融関係者)

 中でも、日本郵船は三菱財閥の創始者・岩崎彌太郎ら土佐藩士が興した「九十九(つくも)商会」が源流だ。九十九商会は三菱商会と改称し、ここから三菱の名前が始まった。三菱を象徴するスリーダイヤのマークは、九十九商会の船旗号が原型となっているという歴史がある。

 だが、統合の発表を受けて、三菱東京UFJ銀行の首脳はこう漏らしたという。

「まだ再編ははじまったばかり。抜本的な構造改革はこれからでしょう」

 確かに、別のメガバンク幹部の見立ても厳しい。

「不採算事業を切り出すことで、債務者区分を正常先に維持するための苦肉の策です」

 債務者区分が引き下げられれば株価は下落し、資金調達に影響が及ぶだけでなく、銀行にとっても引当金を積み増さなければならなくなる。そこで、「各社の独自性が薄く、統合しやすいコンテナ船事業がまず統合対象となった」(同前)のだ。

 運賃市況は一時、リーマンショック前のピーク時の半分まで低下し、コンテナ船は運ぶほど赤字になる状況に陥っている。統合の発表前に、日本郵船と商船三井はそれぞれ2000億円近い特別損失を計上しているが、船舶の稼働率が落ちれば、さらなる減損処理が待ち受ける。だが、需要の鍵を握る中国経済の先行きは不透明なままだ。

「今や三菱にとって、『船は鬼門』と言われている」(前出・金融関係者)

 三菱東京UFJ銀行は、10年で700億円以上を融資していた船舶会社「ユナイテッドオーシャン・グループ」の破綻に絡んで、新橋支社幹部らが銀座高級クラブなどでの接待をタカっていたことが明るみに出て、処分を余儀なくされた。三菱重工も巨額赤字を出した大型客船事業からの撤退に追い込まれている。

「これからの日本は海運と貿易だ。これを強化せずして日本の将来はない」と語っていた岩崎。スリーダイヤの将来はどこにあるのか。