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田中将大と則本昂大、楽天の新旧エースが語った星野仙一氏への想い

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/02

「どんな形でも勝たないと意味がない」楽天イーグルスのエース・則本昂大選手はそう話す。

 冒頭からの余談ですが、僕が則本選手を好きになったのは、大阪にいた2013年。ルーキーイヤーで15勝を挙げた則本選手を、ブラウン管の向こう側で拝見し、「お、ショータやんっ!」と思わず声にした。甥っ子・ショータの顔が則本選手そっくりなのだ。それ以来の大ファンである。

天麩羅の中で一番好きなシソの天ぷらを食べる則本選手 ©河内一朗

チームの勝利にこだわるエース

 さぁ、余談はさておき、どのチームにもエースは存在する。楽天イーグルスのエース・則本選手は「勝ちへの執念とか貪欲さを出したいし、試合になったら球場を支配できる様なピッチングがしたい」と語っているように、勝つ事への執着心を人一倍言葉にして伝えてくれるエースである。だからこそ、チームが勝利した時の喜びも一際感じているに違いない。

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 ご存知の通り、昨年則本選手は前人未到の8試合連続2ケタ奪三振という日本記録を樹立した。この大記録を目前にしても「ファンの皆さんも勝つ事だけを考えて球場に来てください」と語っていた則本選手。その勝ちにこだわるエースの気迫とファンの皆さんの声援が後押しし、1学年下の球界を代表する横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手から10個目の三振を奪って見事に日本記録をマークした。その試合後の動画をご覧いただこう。

 疲れがある中、こんなに笑顔で答えてくれた事が嬉しかったし、最後もチームが勝てるようにと当たり前のように口にしたエースが勇ましかった。

 そんなエースに、昨年12月6日、契約更改終わりに話を聞かせてもらった。

河内「今シーズンを振り返って漢字1字で表すなら?」

則本選手「やっぱり『悔』ですね。最後に本当に(CSファイナルステージで福岡ソフトバンク相手に)悔しい思いをしたので、それしかないですね」

河内「やり返すのは来年ですね?」

則本選手「来年はその悔しさをもったまま、かといって過去を顧みるわけではないので、前を向いて頑張りたいです」

 口を開けば、常にポジティブな言葉を発する則本選手は毎年のようにキャンプ前の1月にニューヨーク・ヤンキースの田中将大選手と仙台で自主トレを行っている。そのトレーニング終わりに話を聞かせてもらった。

新旧エースが語った闘将への想い

田中将大選手×則本昂大選手 ©河内一朗

河内「昨シーズン、お互いの活躍を海の向こうからどう見られてましたか?」

田中選手「2ケタ奪三振がずっと続いてたので本当に凄いなぁと思って見ていました」

則本選手「(田中選手に関して)シーズン序盤とかは多分苦しい時もあったかと思うんですけど、本当にチームが危機的状況の時に素晴らしいピッチングで勝ちをもぎ取るところがさすがでした! まだまだ見習う事が沢山あります!」

河内「お互いのココが凄い! というリスペクトポイントを教えてください」

田中選手「投げるボールはもちろん超一流です。あとはハートです」

則本選手「ハート……痛いです!(笑) 僕が感じているのは大事な時に勝てるところです!」

河内「今年は天国にいる星野副会長も見てくれていると思いますが、星野さんから得たものを教えてください」

田中選手「メジャーの舞台に行くときに星野さんが誰より背中を押してくれました。星野さんが思ってる高い期待に、まだ応えられていないと思うので、今年こそは高い期待に応えたいと思います」

則本選手「星野さんには本当感謝しかないんです。この場にいるのも星野さんが居たからだと思っているので、今年もしっかりと活躍して星野さんに天国から褒めてもらいたいと思います」

 闘将への想いを語って、室内練習場を後にした2人であった。アメリカと日本でプロ野球の歴史に名を刻みながら、それでも更なる高い目標に挑もうとする2人の後ろ姿は、それはそれは逞しかった。

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