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ライオンズの強さの秘訣は「捕手3人体制」にあり?

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/09

 開幕から30試合を消化し(5月7日現在)、23勝7敗と好調の西武。その理由はチーム打率.295と打ちまくる打線が最初に挙がるのはいうまでもない。総得点が201点で、1試合平均が6.7点では相手チームの投手陣も恐怖だろう。打線が売りのソフトバンクの1試合平均が4.3点なので、その差は歴然としている。

 ここまでの打線の特長は、一気に攻め続ける傾向が多いこと。ビッグイニングの定義はよくわからないが、目安として1イニング4得点以上とすると17回記録している。選手のコメントは一貫して「前の打者がつくったチャンスを後の打者につなげたい」と“つなぎ野球”を強調する。それは四球の数にも表れていて、131個はもちろんリーグトップ。ボール球を見極め相手投手の失投を待つ意識が高まっている。

 また、辻発彦監督が現役時代の西武野球の目玉でもあった機動力野球も実りつつある。相手のスキをついて常に先の塁を狙うこと。最近は不振の続く金子侑司に代わってスタメンに定着している木村文紀は、2塁走者として相手投手の暴投で2度本塁に還ってきている。ボールの転がった位置や、カウントによって走者がスタートを切っていたか、などの条件もあるが、このケースは年間通して数多く見られることはない。盗塁の数を増やすのと同じく、この走塁意識は不可欠だ。

今季、すでに2度2塁から暴投で生還した木村

捕手3人制のメリット

 さて、今回は少し地味な目線で捕手3人併用制について書いてみたい。昔から野球界で言われていることに「捕手は固定化が望ましい」がある。確かに、過去に強豪といわれるチームは「正捕手は1人」と決まっていた。西武の黄金期には伊東勤(前ロッテ監督)が不動であったように。ところが、今季のスタメン捕手を振り返ると正捕手のイメージが強い炭谷銀仁朗が12試合、強打の森友哉が14試合、控え的な位置にいる岡田雅利が4試合となっている。

 また、途中交代も少なく炭谷の時に3試合、森の時に2試合、岡田が途中出場しているが、これはベンチがスタメンマスクを決めた時点で「この試合は任せたよ」のメッセージが伝わってくる。打撃能力の高い捕手が正捕手の場合、チームは捕手2人制をとる。代打の必要がないため、あくまでも緊急時用ということで。ところが、この3人の捕手の打撃がここまで好調なのが1試合任せられる要因でもある。

 捕手の時以外はDHで出場する森の打率がここまで.311。規定打席には達していないが炭谷が.317、岡田が.375とすべて3割超えだ。森の打順はほとんどが5番だが、他の二人は8番が定位置。このあたりも得点力を上げている要素にもなっている。

試合前練習中の森(手前)、岡田(奥)の大阪桐蔭コンビ