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“決して足は速くない”ロッテ・中村奨吾の盗塁が増えた理由

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/05/16

 困惑しています。梶原紀章広報から、夕食後に突然、パソコンの前に座らされて「新生マリーンズの機動力野球の象徴として盗塁について、なにか書いてみてよ」と指示されました。この人は大体、唐突で無茶な要求をしてきます。だから、ニヤニヤと近づいてきた時点で嫌な予感はありました。ただ、今年の自分のテーマの一つに「挑戦」という言葉があり、何事にも失敗を恐れずに挑戦をしていこうと思っていましたので断らずに書くことにしました。

パソコンに向かう中村奨吾 ©梶原記章

なぜ盗塁という目標を掲げたのか

 ちなみに失敗を恐れずに挑戦をする事は盗塁にも通じることだと思います。春季キャンプ中に井口資仁監督や臨時走塁コーチとして来られた島田誠さんに「行けると思った場面で、行かない方が罪だ」と言われました。そして、監督から「恐れずにどんどん走っていいぞ」と背中を押してもらいました。自分が30盗塁ぐらいを目標に掲げると、週に1回走れば月4盗塁。それをシーズン6カ月として24盗塁になります。いきなり30盗塁という数字だけを見ると難しいですが、その感覚で考えれば、試合に出続けることが出来れば、確かに無理な話ではないかなと思うようになりました。

 コーチの方々とは技術的な事はもちろん、いろいろなアドバイスをもらったり意見を交換したりしています。投手の牽制するときの特徴やシチュエーションとしてはどのカウントが走りやすいか。またその投手がどのカウントで牽制が多く、どの場面なら少ないか。連続で牽制してくることが多い投手なのか違うのか。いろいろな考え方があり、今はすべてが勉強です。

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 そして盗塁という目標が出来た事で出塁をする意識も強くなりました。ヒットではなく四球でもなんでもいいので塁に出る。ボールの見極めがこれまでよりもしっかりと出来ている感覚があります。

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